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どこもできなかった滑り止め。大手石材会社からの挑戦状

こんな難しいの出来るか??

先日、東京の弟子が面白い事を言ってきたので少し書いてみます。社用で、大手石材会社S社に出向いた折の話です。

「Mさん最近、防滑の仕事やりだしたんだってね。」・・・弟子のMさんは、「はい。関西を拠点にしている大阪セーフティの下で始めました。」

S社の責任者は「大阪セーフティ?聞いた事ないなぁ。大丈夫かいな。」

立て続けにS社の管理者が、

今まで、かなりの数の会社が営業にきたけど、何処も同じようなレベルだよ。

特に磨きの石なんかは、光沢や色合いが変化してしまうし、
業者自体もかなり神経使って作業している割には、
弊社が納得するレベルに仕上がらないのよね・・・。

突きつけられた現実

Mさんは石材の販売施工を業としています。以前、初めての研修の折に、数種類の磨きの石を持参し、私にサンプルテストさせた経緯があります。

もちろんMさんの面前で溶剤をすべての石材毎に調整し、テストしました。すべてのサンプルの光沢・色合いを維持しつつ滑りを止めるって言う、Mさんにとっては摩訶不思議なテストでしたが・・・納得し、感激したMさんでした。

自信満々で大阪セーフティの開発能力と、ハードルの高さをS社にアピールしたものの・・・

伝わらない。理解されない。理解しようともしない現実を突きつけられたんです。5〜6年もの間、関東に進出した類似の業者さんによる刷り込み(インプリント)が、S社の探究心を封鎖し、それ以上の存在を知ろうとしない、言わば閉ざされた情報の現実があるのです。

どこもできなかった滑り止め。大手石材会社からの挑戦状

S社の責任者がおもむろに、

Mさん、今まで来た全ての業者が挑戦し、玉砕した石材があるんだけどね。
駄目(出来ない)だとは思うけど挑戦してみる?

そう言って部下に嘲笑しながら指示し、持ってこさせたのが、磨きの山西黒とギャラクシー(共に花崗岩)です。

この2種類で私を納得させられたら、これからのS社の防滑の仕事、全部Mさんにやってもらうよ。

内藤の独り言

知らないと言うのは大口をも招くんですね。本当に仕事出してくれるんでしょうかね。?・・そんなもん10年も前に出来てるワイ。・・現代社会は、まさに第3の情報鎖国時代?なのかもしれませんね。

①徳川家光②2次大戦③現代となりますが、①の時代であっても、自国防衛の意味において他国の情報は不可欠です。従って、唯一開港した長崎の出島には、常に斬新な情報があり、それを求めて集まった全国のツワモノを育んでいきました。言わば情報に最も飢えていた時代だったのです。

②の時代は最悪な時代です。軍部により情報閉鎖され、国民は正しい情報を得る手段を閉ざされました。しかしながら短波は止める事は出来ません。終戦は短波で情報を得ていた昭和天皇の決断だったと言う説もあります。

③の現代は、①・② とは全く正反対。情報過多が原因で、正しい情報が見つけにくいのです。パソコンを操っている筈が、パソコンに振り回されて、いつでも簡単に得られる情報に真実を見出せず。

いずれにせよ、正しい情報を得るためには、いつの時代においても、其れなりの努力が必要であるってことです。

S社の挑戦状に、Mさんのとった行動は・・・・

さて、S社の有難い?申し出にMさんは、・・・嬉しくって舞い上がってしまったみたいです。

何故かって言うと、彼は提示された磨きの山西黒とギャラクシーに適正に反応する滑り止め溶剤の配合調整を、既に承知していたからなんです。

さっそく2種類の石を持ち帰ったMさんは、私に一報入れてきました。事情を話した後に彼は、

大事な取引先であるから、まずは内藤統括にサンプル施工をしていただきたい。

と言うんです。

ある意味では千才一隅のチャンスかも知れませんが、あえて私は

あなたがサンプルを作りなさい

と指示しました。材料になる溶剤はMさんの会社に揃っていますし、うまくできたら彼自信の成長に繋がります。

数十分後にMさんから電話が入ってきました。なんとも明るい声で、「統括、出来ました。殆ど光沢と色の誤差はありません。滑りも完璧に止まっています」。

新米の弟子とは言え、石に関してはプロです。プロの目をもって彼が報告してきたんですから間違いはないでしょう。・・・「よかったね。後はしっかりS社に説明してね」・・・これでMさんが、少しでも自信って言うか確信をもってくれたら有難いと思います。

自作の防滑サンプルを持参した結果・・・

数日後、Mさんは自分で作ったサンプルをS社に持参しました。

サンプルをみたS社の反応は・・・予想通り驚いたようです。ただS社の担当者が・・・確かに今までの物とは違うね。

で、これ何分おいたの?

・・・何分おいたの?って聞かれてもMさんは答えようがなかったみたいです。

我々セーフティの世界に、溶剤を塗布し、何分後に洗わないと石の表面状態が変わるってことがないからです。数百平米もあるような現場で、塗布した溶剤の反応時間を気にしていたら仕事になりません。

塗布開始から10分放置しても10時間放置しても、最後に洗ったら全ての床の表面状態が同じでないと安心して作業できないし、作業時間も無駄に費やすだけになります。バラツキも出るでしょうね。

防滑の世界に反応時間はナンセンス

何分??・・・実はこれも”刷り込み”なんです。俗に”大は小を兼ねる”などと言う諺がありますが、ケミカルの世界では通用しません。

”定量配合された溶剤の薬品反応”と言うのは、水で希釈しても殆ど変わりません。ただし、水の蒸散の時間により、早いか、遅いかのズレと反応量の大・小の違いはあると思います。

ある一定の溶剤しかない類似業者の皆さんは、その溶剤を何倍かに薄めて、多種類の床材に使うんですね。だから何分って事になるんです。

十数年前の私も同じ事をしていました。サンプルの1枚2枚作る程度なら何とか・・・ならなかったですね。だから作ろうと思いました。・・・以前のブログで書きましたが、開発に明け暮れ、石やタイルに囲まれた日々を数年おくりましたよ。

MさんがS社に新風(本当は新しくはないんですが・・・)を吹き込んで、これが今後の石材業界の発展に寄与してくれるなら最高に嬉しく思います。

この記事を書いた人

内藤 憲道

内藤 憲道

多種多様の床材や状態に合わせて滑り止め溶剤を調剤し、美観をまったく損なわずに滑り止め効果をつくる防滑のエキスパート。溶剤系滑り止めでは、業界の第一人者。全国で活躍する防滑業者の多くは、内藤の理論がベースになっているとかいないとか。メンテナンス業界では防滑に限らず床材のドクター(研究者)として知られ、大手ゼネコン、タイルメーカーはもちろん、同業者から現場相談を受けるなど、(一部では)圧倒的な信頼を得ている。

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