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CSRは工業規格?まだまだ理解されない摩擦と滑りの違い

先日久々に、大手ゼネコンA社の設計の方から、滑り止めの問診をうけました。滑りが抑制される原理理論に始まり、溶剤成分、安全性、持続性、社会性、公共性等々、結構細部に亘り質問されました。

大手ゼネコンA社と云っても、設計や工事関係者だけでも数千名いらっしゃいますので、まだ弊社の滑り止め工法を知らない方も多いのです。

安全への法律は整ってきたが、実情は・・・?

バリアフリー法、PL法、ユニバーサルデザイン、コンプライアンス関連法案改正など、安全・安心に関わる法環境は、年々厳しさを増しています。

が・・・スタンスは整備されても、まだまだ絵に描いた◯◯の感は拭えません。バリアフリー法は確か平成6年、PL法は平成7年の施行だったと思います。

確かに介護を要する関係者の個人宅、施設においては、其れなりに配慮されてきたと思いますが、まだ万分の1に過ぎません。

世界のトップレベルに位置する、我が国は高齢者大国。私自身も現在、高齢化社会人の新人の1人であり、要介護予備軍の1人でもあります(また余計な事を書いてスミマセン)。

上記に記した其々の法律の共通点は、衣・食・住について、全ての人が、安全に、安心して生活できる環境をつくる事にあると思慮しますが・・・・A社の設計の方と話をしている間、私の頭の中は溜息の連続。

国が示し求め、法律化したことは実践していても、大枠の中でのこと・・・"もっと中に食い込んで来てほしいなぁ・・・”と、14年間思い続けている私ですからね。

摩擦の世界と滑りの世界

そこへCSRの話が必然の如く出てくるわけです。どこのゼネコンにも同じことが言えます。

JIS規格であるCSRの基準をクリアーするのか否かによっては、この工法は使えない。

「ま〜だこんなレベルかぁ・・・〃つくづく呆れてしまいます。

CSRについては、国交省を始め、地自体、多くのゼネコン、床材メーカー等に、過去十数年何度も何度も説明を求められては話をし、資料も提供してきました。

残念ながら私如き"小者”の1人や2人がいくら註釈を並べても、「参考にする」に留まってしまうんですね。

滑りは五感の世界。滑る滑らんは、人が判断するもの

CSRは、あくまでも摩擦の世界の話です。滑りは五感・五官の世界?に関係してくるもので、官能的な部分に影響を受けます。しかも媒体(履物、砂利、油脂系汚れ、水等)によって大きく変化するんですよね。

それに加え、人の感覚的・官能的な部分は当然ながら個人差がありますし、年齢、行動動作も関係してきます。・・・正しく言えば、滑る滑らんのジャッジを下すのは、歩行し得る人であって、CSRの基準ではないと言うことです。

CSRは過去何度も書いていますが、高分子床材(化学床材、例えば樹脂系床材)の静摩擦係数値です。JIS規格となっているのは、あくまでも高分子床材が対象です。磁器タイルや石材には適合しないのです。

それなのに何故、タイル業界・ゼネコンを始め皆が皆、CSRを前提とするのか、我々滑り止め業者に立ちはだかる大きな壁・・・そこらの話は過去の事例を踏まえながら書いてみたいと思います。

「滑り抵抗値CSR◯◯◯」表記はトンチンカンで、コンプライアンス違反

大手タイルメーカーを始め、殆どのタイル業者のカタログに、「滑り抵抗値CSR◯◯◯」と明記されていますが、・・・これがトンチンカンであること、コンプライアンス違反であることを皆さんに知って欲しいのです。

いつからCSRが滑り抵抗値になったんでしょうか?
いつから磁器タイルやセラミックタイルのJIS規格になったんでしょうかね?

これはまさにコンプライアンスに反している表現です。C,S,R(coefficient of slip resistannse)翻訳すると滑り抵抗係数とも言えますが、・・・東工大方式がCSRを係数値とした背景に確信犯的な何かを感じてなりません。

ある意味で勘違いしやすいものであり、トラブルが発生したら、あくまでCSRは静摩擦係数値であり、滑り抵抗値ではないと考案者は言って逃げます。事実ですよ。

JIS規格、CSRが招く確信犯的弊害

何度も記していますが、CSRは静摩擦の係数値であり、JIS規格とされているのは、あくまで高分子床材(化学系床材)のみです。各タイルメーカーの確信犯的大嘘になぜ関係業者(国交省・ゼネコンを含む)の皆さんが確信的に口裏を合わせてしまうのか?

原因の1つが上記にあると思います。皆さんは自信をもって勘違いをされているか、目安欲しさに分かっていながら使っているか・・・でしょう。さすがに滑りの測定検査機関である財団法人全国タイル検査・技術協会においては、滑り測定の試験報告書の記載方法を変更してます。

例えば以前、滑り抵抗性試験としてたのが、耐滑り性試験に変わり、注1・注2の項目を設け、検査結果が防滑性を保証するものでないと検査依頼者の勝手な勘違いを防止していますよ。

裁判(スリップ転倒し、大腿部複雑骨折し、訴訟)となった事例を次回に紹介したいと思っています。CSRの考案者が絡んでいますので、お楽しみに。

この記事を書いた人

内藤 憲道

内藤 憲道

多種多様の床材や状態に合わせて滑り止め溶剤を調剤し、美観をまったく損なわずに滑り止め効果をつくる防滑のエキスパート。溶剤系滑り止めでは、業界の第一人者。全国で活躍する防滑業者の多くは、内藤の理論がベースになっているとかいないとか。メンテナンス業界では防滑に限らず床材のドクター(研究者)として知られ、大手ゼネコン、タイルメーカーはもちろん、同業者から現場相談を受けるなど、(一部では)圧倒的な信頼を得ている。

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