WORKS 長谷工Pマンション

長谷工Pマンションの防滑

当社の自信作でもあった大阪・枚方市のPマンション。他社施工により無残な姿になったタイルを、美しいコバルトブルーに完全復旧

床材:珪藻土 コバルトブルー仕上げ
難易度:★★★★★★★★★★
光沢・色合い:完全復旧
広さ:80㎡
工期:3日

8年ぶりのゼネコンからの電話。それはSOSだった。

久しぶりに京都のH社から仕事の電話が入りました。

何事かと思いきや、10年前に施工した枚方市のPマンションの滑り止め施工の相談でした。Pマンションはつい先月、他社により滑り止めの施工を実施したとのこと。ところが施工後まもなく居住者から不評不満が多発し、再施工の方向へ話が進んだらしい。施工後、日も浅いので、手直しできるようなら何とかお願いしたいとのことでもありました。

Pマンションに敷設されているタイルは、珪藻土をメインとした塗り床材でコバルトブルーに仕上げられた特殊なものです。10年前、施工にあたり私自身もそれなりに悩んだ床材です。滑りを止めて且つ、あのすばらしいコバルトブルーを維持しなければ、現在の溶剤系滑り止めを世間に発表、提供した私のプライドが粉砕してしまいます。

あの難しいタイルに滑り止め施工を実施した業者が、どんな施工をしたのか興味が湧いたので取り急ぎ出向くことにしました。

美しいコバルトブルーが無残な姿に・・・

Pマンションを訪問するとH社のA氏と理事長が既に待機していましたが、私はタイルを見て我が目を疑いました。

Pマンションの床

真っ青なコバルトブルーがうす黒い青?に覆われているではありませんか。一体何をしたのか?よく見ると、全面にエポキシが塗布されています。しかも立ち上がり部分までご丁寧に塗られています。

エポキシ?このタイルにエポキシ?

私の頭の中でこの言葉が飛び交いましたよ。理事長にどうしたいのか尋ねると、施工前に近いブルーにしてほしいとのこと。

期待に応えるために覚悟を決める

私の心境は複雑でした。10年前に苦心して完成させた現場が、最近まで美観と安全を維持してくれた事への安堵感と達成感。そして、今回の作業内容です。

エポキシを剥離し、防滑を施し、次に防滑性能を維持させた状況でタイルをコバルトブルーに仕立て直すという作業依頼ですからね。エポキシを80㎡剥離するだけでも大変な作業となります。

結果的には、覚悟を決めました。

理由は10年前の弊社の施工を支持し喜んでくれた居住者の方が多く存在することを、理事長が話してくれたこと。そして、10年前に私が記したブログを示し、当社に連絡をとるよう指示してくれたT氏の期待に応えなくては、という気持ちが私の背中を押したのでしょうか。

たった2日で施工ができるか?

帰宅後、施工を2日でこなすための対策を検討します。

  1. エポキシの剥離をエポキシ塗布した業者に頼めないか、H社に協力を要請
  2. 事前に居住者に対し施工への協力要請の徹底
  3. エポキシの剥離剤は刺激性が激しいため、作業者に対し安全対策の徹底
  4. 剥離後の回収物の管理
  5. 滑り止め施工溶剤の選定
  6. コーティング施工時の居住者の現場立ち入りの調整

①については、エポキシ塗布した業者から「こんな予算ではできない」と一蹴されたと連絡を受け、誠意のなさを痛感。結局、施工業者のケツを拭かされるお人よしを演じることになってしまいました。「そりゃー誰もやらんわなあ~」内藤の心のささやきです。

施工開始。手作業でのエポキシ剥離

施工当日。本日はエポキシの剥離がメインとなるので、総勢5名で臨みました。通常、コーティングやワックス等の剥離は一般的な剥離剤で溶解させ、ポリッシャーを回し、バキュームで吸い上げていけば簡単に取り除くことができます。80㎡程度であれば通常1~2名で、しかも短時間で作業を終えるレベルです。

しかし、エポキシやアクリル系の剥離となると、そう簡単にはいきません。特殊剥離剤を塗布しても、柔らかくなるだけで溶解しません。従ってポリッシャー、バキュームが使えないので、すべてを手作業で取り除いていく必要があります。

エキポシの剥離作業

しかも、剥離剤で柔らかくなったエポキシは、時間経過と共に徐々に硬くなっていきます。手早く処理しないと、刺激性の強い特殊剥離剤を何度も塗布することになるので必死です。

他社がエポキシの剥離を嫌がる理由

全員でケレンとスクレバーで手早く取り除いていきますが、簡単にはいきません。柔らかくなったエポキシには若干粘りがあります。這いつくばって、剥くっては缶に入れ、剝くっては缶に入れ・・・。本来ならば絶対にやらないであろう作業を全員黙々とこなしています。

エポキシの剥離

1回目の全床面の剥離作業を終了。1回目?実はエポキシの剥離を他社が嫌がる理由がここにあるのです。溶解しないから、はぎ取る作業をやるわけで、床面の僅かな凹凸部とタイル目地には必ずエポキシが残留します。しかも、剥離作業中には残留しているか否かまったくわからない。床面が乾いてはじめて、あちこちの残留が目に付くのでやっかいなのです。

ダイヤモンドブラシなら簡単なのだが

実はエポキシやアクリル系の剥離の手法として、もっと簡単な方法があります。ダイヤモンドブラシをポリッシャーにセットし、高速回転させれば楽にエポキシを除去できたかもしれません。

弊社も所有していますが、今回の現場でははじめから使用する予定はありませんでした。たとえ新品のダイヤモンドブラシであっても80㎡もあれば1回で使い切ってしまうでしょうかね。予算の半分近くもするような消耗品は、さすがに使えませんでした。

黙々と地味な作業がつづく

2回目の剥離作業を開始。残留しているエポキシを目地を中心に削り取っていきます。ただ黙々と地味な作業を続け、滑り止め溶剤を塗布可能なレベルになった頃は午後4時半を経過していました。

予算が少なかろうが、何か言わんと気の済まないクレーマーにウンチク言われようが、10年前の弊社の施工を喜んで受け入れてくれた方々の期待を裏切る訳にはいきませんし、私自身がこのコバルトブルーの床材が好きで元のレベルに戻したいと考えているのですから、当然最善は尽くすべきです。

滑り止め施工

滑り止め溶剤を塗布し、翌日の作業に備えチェックを終え、現場を後にしたのは午後6時を経過していました。

2つのハードルのクリアがミッション

施工2日目。剥離と滑り止め施工を終えたタイルにあの見事なコバルトブルーの面影は全くありません。特殊コーティング作業の準備に入ります。タイルの1枚1枚に塗り込んでいきます。

簡単にメカニズムを

つねにパブリックドメインを公表している弊社ですから、簡単にメカニズムを説明しましょう。

タイルや石材等は、表面が擦り減って色あせても濡れ色を施せば本来の色を醸し出すのです。今回のテーマは濡れ色を施しコバルトブルー色を復活させ、そのままコバルトブルー色を維持させたまま乾燥させることです。

もう1つ重要なのは、コーティング作業後1時間程度で歩行可能な状態に仕上げることにあります。
しかし、施工中に一部の居住者の侵入が相次ぎ、コーティングをやり直したり散々な現場となってしまいました。事前に居住者には協力要請をお願いしていたのですが、出入り口が3か所もあり、それぞれが目隠し状態となることもあって、やむを得ない部分もあるんですがねえ。

乾燥後、薄い足跡と筋交が発生・・・

四苦八苦しながら全床面のコーティングを終え、30分乾燥させ表面状態を確認することに。乾燥後の床面の数ケ所に薄い足跡が浮かび上がっています。何度も塗り重ねた床面にはいくつもの筋交が発生しています。

こりゃアカンは~
残念ながらこれでは引き渡しできません。

予算の問題や居住者の協力が得られなかったことや、施工前よりきれいになり元の状態に近くなったとかはもうどうでもいいのです。誰もが納得する状態に仕上げることが弊社の義務なのです。2日もの間、理事長も手伝ってくれました。弊社を推薦してくれたT氏も心配して立ち寄ってくれました。

もう1回やり直しましょう。

日を改め居住者対策も十分検討したうえで、次回コーティングの剥離を含め1日で誰もが納得できる施工をやって見せましょう。

自分との約束を果たすため

6月に入り3回目の施工に入りました。施工を決めたとき、私は自分に約束をしました。

  1. 私自身が10年前に四苦八苦し試行錯誤しながら仕上げたPマンションのコバルトブルーのタイルが好きなこと
  2. その時の仕事を評価し、弊社を推してくれたT氏や居住者の方々の期待を裏切れないこと
  3. 何があろうとウンチクを言わないと決めたこと

今回は1日で完工させるためにいろいろと準備しました。エポキシの剥離がいかに困難かは先述しましたが今回はありません。シリカ系のコーティングがタイルに塗り込んであるだけですから何等問題はありません。類似業者においては大変なことでしょうが・・・。

ようやく義理が果たせた、損得抜きの仕事

タイルを痛めないように剥離、滑り止め施工を実施。前回、何度も侵入され分厚く塗り込まれた部分は全員で削り取り、コーティングするための下地を作り上げ、午前中の作業は終了。

前回の件を繰り返さないようコーティング作業を6つに小分けにし、1つ塗り終えたら10分休憩(乾燥)し表面が乾いたのを確認できたら、養生シートを被せていきました。同じことを6回繰り返し全面にコーティング処理を施すことができました。

翌日の確認。ほぼ均一にコバルトブルーができあがっていました。水を蒔いて滑りの確認。安全レベルで仕上がっています。理事長にも確認していただき、ようやく施工完了となりました。

今回は私の思い入れのある現場でもあったので仕方ありません。損得抜きの仕事もたまにはいいんでないですか?

まずは
現場相談と無料デモ
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当社の「現場相談」とは「現場検証」と思っていただいたほうが分かりやすいです。

滑りは単純なものでなく、床材、仕上げ、利用シーンなどさまざまな要因が絡みます。それらを客観的にプロの眼で確認することで、今なにが起こっているのか?を正確に把握できます。それらを認識せずに対策を行うと滑り止めはもちろん、美観維持にも支障が生まれます。

「現場相談」と「無料デモ」を組み合わせることで、

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などを受けていただくことができ、ほとんどの方は当社のデモ作業の結果に驚かれます。

原因と対策が分かれば、問題の多くは解決します。もし、他業者で施工した床が滑り出した、滑りは止まったが美観が損なわれた、お客様の転倒でクレームが発生し対策を打ちたい、などの課題をお持ちなら、一度ご相談ください。全国対応可能ですよ。

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