WORKS 関西国際空港 第3ターミナル

関西国際空港 第3ターミナル

4,000㎡のシリコーン系コーティングされたセラミックタイルを、平均年齢63歳13名が2晩で防滑完遂

床材:シリコーン樹脂コーティングのセラミックタイル
難易度:★★★★★★★★★★
光沢・色合い:99%維持
広さ:40,000㎡
工期:2晩

上埜タイル様よりのご紹介で発注は熊谷組。敷設予定のセラミックタイルにシリコーン樹脂系コーティングが施されています。
類似業者に依頼すれど滑りを止めることができず、回り回って弊社に白羽の矢が飛んできたみたいです。

バラつきのあるセラミックタイルだった

現場に敷設するタイルを上埜タイル担当者が数枚持参してくれました。600×600の大判です。

まずは、一般的なセラミック専用溶剤を塗布しタイルの変化を確認します。シリコーン樹脂系コーティング剤の割には少し反応。何やらあやしいので、2枚目のタイルに同じ溶剤を塗ってみました。今度は全く反応しない。

更にあやしくなったので3枚目にも同じ溶剤を塗布。すると今回は、やや効果は落ちるが滑りが止まった。おもろいなこのタイル、相当バラつきがあるぞ。滑りが止められるか否かといえば止められると答えるが、後は方法論となります。

2枚目の反応しなかったタイルについては、弊社新開発のK-1を1.5%程度、専用溶剤に混ぜてやれば簡単に滑りは止まりました。

平成28年には既にシリコーン樹脂系コーティング対策は完了しているが、令和2年2月まで世間には何一つ公表していません。

現場が錯綜

滑り止めに関しては何の問題はありませんが、オープンを間近に控え、現場が一部錯綜(さくそう)していることが少し心配です。現場所長より全体の行程表をもらって、施工の日程を調整する必要があるからです。弊社は小規模な会社ですから、大きな現場となると助っ人が必要となります。全員、仲間内で任うのですが、其々が仕事を抱えている訳で調整が困難な場合も多々あるのです。

還暦集団が2日間で4000㎡に挑む

関西国際空港 第3ターミナル

施工の日程が決まりました。数社の仲間に連絡を取り、助っ人の依頼をしたが日程が合わず。参加可能な人員は5名確保するこに留まりました。施工を2日予備日1日と設定すると最低あと7人は必要となります。

さて、どうするか・・・。必要人員7名の役割として手許(溶剤道具等の移動)3名、写真と塗布漏れ等にチェック人員2名、塗布作業人員2名を考えました。

施工日2日前に12名確保。私を入れて計13名で2日間で4000㎡に挑みます。1日2000㎡目安。ちなみに参加者の平均年齢は63歳です。70歳以上が5名入っていますので平均年齢を31上げてくれました(笑)。

従って、後は段取りをしっかりやらなくては失敗しかねません。溶剤配合担当兼手許1名、手許3名。溶剤塗布担当(専任)4名、写真・チェック担当2名、マイクロファイバーモップ担当2名、そして現場統括の私といった布陣で取り組むことにしました。

難しい作業は不要。淡々と塗り続ける

施工初日を迎えました。夜間作業開始は20時と指示されていたので全員の集合を18:00としました。全員出揃ってから1時間は役割分担と作業、行動内容を各人に指示確認。30分前に作業用具類の搬入を終え待機。20時になり作業スタートしました。

関西国際空港 第3ターミナル

作業手順

  1. 全員で30分程、金属部、溝等を養生
  2. 塗布開始
    塗布担当は各自持場分担し淡々と塗布していきます。写真チェック担当は塗り漏れがないか、目を凝らして見つめています。
  3. モップ担当始動
    溶剤塗布後30分も経過すると溶剤は乾いてしまいます。乾いた床面に軽くモップ掛けをしていきます。本来は溶剤乾燥後、何も残留しない様に溶剤は作ったのですが、床に少しの汚れがあったり、塗布量が多過ぎたりした時にチョッとだけ何か残留したりするので、その部分だけモップで拭き取る作業なのです。
  4. 休憩23:00
    夜食を兼ねて休憩をとりました。年寄りが多いので当然ですね(笑)。ここまでに作業工程としては3分の1を終えました。
  5. 施工再開24:00
    現場一部に他の業者が滞留していて一時作業ストップ。他業者が退去したあと作業開始するも、タイル面に相当の汚れが残っているので約20L程度バケツにて水を流し汚れを除去。スクイジーとバキュームにて処理。その後も他業者の後を追うような恰好になって、バケツに水。洗浄作業を余儀なくされた。お互い様とはいえ、段取りの悪い連中にいらつきを覚える始末。
  6. 1日目作業終了(明けてAM4:00終了)
    2,000㎡を超えたところで他業者の滞留が激しくなったため、本日の作業を終える事にした。チェック担当に防滑効果確認の情報を得て、本日の作業終了。

4,000㎡施工完了

2日目は他業者の姿がありません・・・ホッとしましたよ。お邪魔虫がいないと思ったら床面にそれなりの汚れを残しておりました。施工に入る前、洗浄してもらっていたのに・・・他の業者に配慮のできない連中には困ったもんですワ。ホンマ!

前日の作業手順に洗浄作業を加え、それでも作業は精々と進めました。チェック効果の確認を繰返し行い、全ての施工工程を終えたのは明けてAM3:30でした。これで4000㎡見事施工完了。

なぜ平均年齢63歳が、たった2晩で4000㎡を完璧防滑できたのか?

皆さん、この関西国際空港の施工記述って少しおかしいと思いませんか?平均年齢63歳の13名のグループが、たった2晩で4,000㎡完璧に作業を成功させたのですから、やっぱおかしいでしょう?

種明かししましょう

私はこの20年間、防滑の最大の技術は”溶剤にあり”と叫び続けてきました。それ故に多様多種の床材に対応すべく、多くの溶剤開発にチャレンジしてきたのです。
2002年にセラミックタイル溶剤を開発。2003年に建築技術展にて公開展示し、賞なるものを頂戴しました。

セラミックタイルに遭遇した車で、私の溶剤開発意欲に更に拍車がかかったのかもしれません。2012年熊本の現場でシリコン樹脂系コーティングされたセラミックタイルの防滑施工で、苦い体験をしたことも大きな糧となりました。

約6年間、シリコーン樹脂コーティングにトラウマを抱えていました。ある事がきっかけで、その壁を突き破ることができたのです。

嘘みたいな溶剤ができちゃったのです

関空で使った溶剤は、まだ(当時は)世間に公開していなかったもの。関空のセラミックはシリコーン樹脂コーティング済みのタイルであったので、テスト施工するにはもってこいの現場だったのです。

施工対象のセラミックタイルに塗布するだけ、乾いたら光沢、色相を維持したままの状態で滑りも止まっている。基本、水で洗い流すことは不要。多少何か残留していたら拭き取るだけ。

嘘みたいなことですが、実はできちゃったんですよ。しかもシリコーン樹脂コーティングを残し防汚対策も維持できるため、3年以上経過した今も綺麗で滑りも止まっていますよ。

この現場で使った溶剤のpH値は5.8レベルです。家庭用品表示法になる法律によると中性と表示できる範囲はpH6~8と明記されていますが、ほぼ中性に近い溶剤であると言えます。

関空現場においては、それなりに他業者に足を引っ張られ、バケツに水っていうのを10杯くらい使ったかな?本来、水を使わずに現場を終えたかったんですがね。

以上の種明かし解説でご理解いただきましたでしょうか?

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