某中堅ホテルの大浴場・・・お客様ファーストって意味分かってんの?
場合によっては、この仕事お断りしても宜しいでしょうか?・・・その2
前回の続きとなりますが、う~ん・・ちと困りましたね。・・スケールと汚れで床材が特定できないって事もあるのですが、恐らく砂岩的な凝灰石か、輝石安山岩で乱形板状に剥がれやすい鉄平石ではないか想定しました。・・両方とも切り出し時は粗目で吸水性も高く、昔から室内外でよく使われてきたものです。特に凝灰石系は浴場床に用いられるケースが多々あります。中でも吸水性の高い(10%以上)十和田石・伊豆若草石・大谷石等はよく知られていますね。
吸水性の高い床材は歩行した際、床内部に毛細管現象が起こりやすく易く、足との接地面に吸盤効果が発生します。だから知恵ある先人は浴場の床に凝灰石を用いてきたのです。・・先人の知恵の恩恵を活かすか否かは、現代に受け継いだ我々の対応力となります。・・・現場管理を担う者が、その任を果たすため何をすべきか・・・言わずとも知れた事なので割愛しますが、この某ホテルの浴場現場には・・・この知恵思考が存在しないのか又は、”見りゃ分かるだろう”って言う事は汚れと床材の関連を全て理解し掌握しているからなのか?・・・
現場担当者へのウンチクは置いといて、情報が無いのでこれから色々と想定をしていきます。・・凝灰石であれ鉄平石であれ滑りを止める事は難しくありません。スケールが存在していても問題なく防滑施工は出来ます。・・・では何故溶剤が反応しないのか?・・・私が導き出した答えは一つ。・・・恐らく過去に樹脂系に骨材を混入した防滑施工をしているのではないのか?・・デモ施工で溶剤を塗布し流した後、床面に白いスケールが現れた事も私の思考と一致するからです。
代理店から送られてきた写真映像を見た限り、スケールとして捉えても不思議ではないのですが、現場担当者の動向と床材と現場状況を深く検証すると何やら違和感が出て来たのです。・・・スケールでは無い。・・・過去に樹脂系の施工を施工していたと仮定すれば、その正体は”樹脂の白化現象”ではないかと考えます。・・・恐らく現場担当者は樹脂系の施工の事、忘れたか知らされていないか?・・何も分かっていないのか・・等と考えてしまいます。
浴場って場所は、全てを脱ぎ捨て、安息・快楽・リフレッシュ等、心・身体を癒す場であります。従って利用者にとって最も無防備な場でもあります。・・・お客様に快適にその時間を満喫して頂く。これこそがお客様ファーストの精神です。・・・
見た目汚くて、歩けばベタベタし、やたら滑る・・場合によっては少々悪臭も・・そんな浴場で快適になれますか?・・ホテルの営業本部がいくら頑張っても、現場がこんな状態ではどうにもなりません。コミュニケーションが”ゼロ”状態では何も改善されません。・・・今後、代理店に何を提唱すべきか指導しました。・・ホテル側の要望のみが優先し、我々との話に耳を貸さないようであれば、この施工案件・・・お断りしなさい・・・と。
コロナ渦中で仕事は有難いけど、いい仕事・納得出来る施工を提供出来ない場合、お断りする選択肢もあります。safetygroupのバカげた真骨頂でもあります。・・・