SUBERANAI BLOG すべらないブログ

ホテルの浴室タイルに、凹凸シールで滑りどめ対策したものの・・・

1年前の判断の誤りが、とんでもない無駄に

東京の某ホテルの話です。

各部屋の浴室のタイルに滑り止め対策として、凹凸シールを床全面に貼ったんです。ところが1年も経過しないうちに、部分的に剥がれていき、見てくれが悪くなるワ、滑るワ汚れるワで、困っているようです。

縁あって弊社に滑り止めの話が飛び込んできたんですがね、・・・簡単にハイとは言えません。・・・何が問題で私が難色を示したのか、今回はこのテーマを取り上げて解説していきます。

某大手タイルメーカーの凹凸シールとの競合

話は1年前に遡りますが、弊社はこのホテルに対し、滑り止めの見積書を提出していました。その時に競合していたのが、某大手タイルメーカーの提案する凹凸シールによる滑り止めだったのです。

どちらが効果的なのか確認したいとの申し出もあり、デモ施工を実施する事にしました。

デモ施工後の担当者の驚きの行動

デモ施工の段階で、立ち会ったホテル担当者が示した行動に驚きました。施工直後のタイルに、なんとボディシャンプーを、そのままべチャッと落とし、その上に乗り、そしてこう言うのです。

分かりにくいなぁ。
この程度の事は日常起こりうることなんで、これで滑るんでは意味がない。

もしその場に私が立ち会っていたら、きっと大笑いしていたでしょうね。東京営業担当の報告を受け、ズッコケタくらいですから・・・。それでもって某大手タイルメーカーの提案を採用し、凹凸シールを貼ったんです。

凹凸シールの上にボディシャンプー落として滑りのテストをしたか否かは不明ですがね。

常識的には無茶苦茶な事をやられた感じです。・・ボディシャンプー(滑り加速剤)をそのままべチャッと落とし、その上に乗って滑りが止まるはずがない。バナナ皮の上に乗るか、アスファルトに氷を張るのと同じですよ。

滑りだけでなく、剥がれも念頭におくべきだったのに

凹凸シールに防滑性がない訳ではありません。ここでの問題点は別にあります。

水廻りに使う場合は、必ず剥がれる事を想定しないといけません。長期間、水や温水に耐え切る接着剤はほとんどどありません。従って剥がれます。剥がれたら、その都度また貼るしか方法はありません。

要は剥がれた箇所にまた貼れば済むことなんですがね。・・・1年程度で何故弊社の滑り止めに変更しようと思考が傾いたのか?・・・まぁ詮索する必要もないので、この案件に関して、なぜ弊社が難色を示したのか?

なぜ弊社が難色を示したのか?

私が今回のテーマに難色を示しているのは、前回見積もりを出しながら却下されたからではありません。

1年前に床全面に貼られた凹凸シールを剥がす作業と、剥がした後に残留している粘着剤、接着剤を剥離する際、必然的に発生する臭いに大きなトラブルを予測するからです。

年中無休で250を超える客室を誇る大きなホテルですから、利用されるお客様に流出した臭いで不快感を与える訳にはいきません。

ホテルの施設管理責任者は、多少の臭いは止む得ずと言った見解を示してくれてはいますが、ハイそうですかって訳にはいきません。大きなホテルですから、臭いも広範囲に流れてしまいます。

シンナー系の臭いは一旦流れると、なかなか消えません。スカしっ屁の臭いって訳にはいかないのです。必ずお客様から苦情が舞い込むでしょう。施設管理が仕方ないって言っても、客室担当、お客様担当あたりから何やらヤイノと出てくるのは目に見えてます。

そうなると全ての矛先は・・・・決して考え過ぎではないと思いますがね。

凹凸シールの貼替えを作業の労力と影響

仮に作業をするとしましょうか。

客室の小さな浴場に毎回送風機を持ち込み、強制排気の準備作業をする必要があります。浴場にダクトを差込み、目張りを施し、客室の窓にダクトを出し、また開けた窓に目張りを施す。

そして目張りを施した小さな浴場の中で、剥離作業をする訳です。時間的に、一日に何室の作業が可能であるかは別にして、毒性の臭いで体が悲鳴をあげますよ。

コスト4倍以上に!!!

剥離作業が終わって、本題の滑り止め作業となるんですが、客室の1つを完了させるのに相当の施工時間と手間を要します。従って、作業に伴うコストは、前回提出した見積もり額の4倍?以上はアップしますかね。

1つの客室の作業をうまくこなしたとしても、次へ移動する際に臭いはホテル内通路に漂います。・・・・道具や作業着に吸収された臭いは、防ぎようがありません。いずれにしても、臭いの問題は解決できないのです。

ホテルは床の張替えも視野に入れていると聞きました。いずれにしても、1年前の判断の誤りが、とんでもない無駄を招くことになったんです。・・・・

内藤の独り言

1年前に何で凹凸シールを採用したんやろか。何でウチは凹凸シールとの競合に負けたんやろか。

水廻りに凹凸シールを貼ったら長持ちゃせんがな。こりゃぁきっと東京の営業担当の営業センスに問題があるな。
統括責任者として反省もせんといかんが、もうちっと奴等のケツど突いたらなアカンな。

この記事を書いた人

内藤 憲道

内藤 憲道

多種多様の床材や状態に合わせて滑り止め溶剤を調剤し、美観をまったく損なわずに滑り止め効果をつくる防滑のエキスパート。溶剤系滑り止めでは、業界の第一人者。全国で活躍する防滑業者の多くは、内藤の理論がベースになっているとかいないとか。メンテナンス業界では防滑に限らず床材のドクター(研究者)として知られ、大手ゼネコン、タイルメーカーはもちろん、同業者から現場相談を受けるなど、(一部では)圧倒的な信頼を得ている。

  1. SONODA より:

    凸凹シールに負けたんと違います!

    でも・・・、まず一番にケツど突かれないかんのは
    このSONODAですゎ。
    数々の失敗重ねすぎと自分でも情けなくなるわりには
    また次の営業先をノックしてしもうちょります。

    施工後のお客さんの驚く顔が見たくて・・・

    • 内藤 憲道 内藤 憲道 より:

      園田さんへ
      1つ1つの積み重ねが血肉となります。そして反省があればこそ人は進化するものと信じています。何がなんだか訳が分からず、何に反省を求めていいのか分からない人が結構多い中、園田さんは、しっかり楽しんでやってくれているのでド突きがいがあるワナ。頑張りや~。

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