50年前の壁色にしてほしい???セーフティは何でも屋???
新しい石壁だけが目立ち、違和感満載!
直近の話です。親交のある某大手ゼネコンさんから新ネタを頂戴しました。
改修工事で止む得ず、某大手ホテルの石壁を数平米張り替えたが、その箇所だけが白く目立って、壁全体における色のバランスが悪くなったとして、ホテル側から苦情を呈された。セーフティさん何とかしてくれんか・・・。
このホテルは、当地に歴史を刻む老舗。新設当初の真白き石壁も、50年の時を重ね、茶ボケした何とも言えぬ風情を醸し出しています。その壁の中央部が突然、真っ白になったもんで、一気にバランスが悪くなりホテル側が慌てたんです。
そんなのやったことないし・・・
さて、慌てたのは私も同じですよ。だって今まで経験した事が無いのですからね。・・・さっそく弊社関連の石材屋・塗装屋・メンテナンス関連業者・リフォーム業者等々、彼等の過去の経験則の中に良いアイデアがないか尋ねてみました。
皆さんの見解としては、大変に難しいので止めた方が良いのでは・・・ってことに・・・なりました。
請けない方がいいと言われたが、好奇心に勝てず
止めろって言われると・・・悪ガキの頃から私の好奇心は、より一層旺盛になるんです。無(無知)だからと逃げては何も生まれません。過去15年間の滑り止めに関わる全てのノウハウの蓄積も、“ゼロ(無)”から始まったことですから。・・・反対を背にサンプルの真白き石を10個調達してきました。
50年もの間に、真っ白な石(花崗岩)は、酸化しやや錆び色に黄変しています。その黄変した中に、適当な数々の汚れが付き、風情ある色合いを演出しているのです。タイルを例として挙げれば、イタリアのテラコッタみたいなもんですかね。
薄い錆び色を出すのには・・・?
熟成されたモノを補修するには、補修剤も熟成したモノを使うのが適正であろうと考えました。
- 薄い錆び色を出すのに何を使えば良いのか?
- その他の汚れ色に何を使ったら良いのか?
- 色の遠近をどう演出すべきか?
何かしら考えていたら楽しくなってきましてね。
使ったのはタバコ・・・?
タバコのスイカスを集めては1日水に漬け、いい色が出たらガーゼで絞り、そこへ醤油を適量入れ、鍋に入れて煮詰めてみました。・・・真っ白な石に刷毛で軽く塗ってみると・・・なかなか良い感じの下地が出来たじゃア〜リマせんか。その後、チョコチョコ手を加え良い感じのサンプルが出来上がりました。
さっそく仕上がったサンプルをゼネコンさんに持参し、評価を伺うことにしました。
えーリアルだなぁ
歓喜の第一声を頂戴し、張り替えた現場へ色合わせのチェックに向かいました。古いオリジナルの石にサンプルを貼り付けると、旨く馴染んで全く見分ける事ができません。ホテルの関係者も感激してくれて、その日のうちに特殊補修工事として仕事が決まりました。
私的には、こんなんで仕事を貰って良いのだろうかと思っていました。
が、ゼネコンの担当者が、
10年前にも同様の出来事があり、その時に石屋さんが補修した石がこれなんョ
ゼネコン担当者が指差した先には、ハッキリと色目の違う石が・・・ありました。
無から生まれた発想の価値
また一つ私の引き出しが増えたような気がしました。大げさで手前味噌でもありますが、“無から生まれた発想が世界を創造して来たんだ”と、前向きに思考する私故に、人に笑われたり失敗を重ねることも度々です。
が、もともと素人で白紙であった私の紙が、ほんの少し色づいているように感じます。
1つ1つコツコツと何かをこなす度に色がついて行くんでしょうが、残りの人生を考えると最終的には真っ赤には染まりきれず、極薄のピンクでピリオドを打つんでしょうね。それ故に、受け継ぐ人達に期待するしかないのです。
受け継ぐ若者の一人でありたいと思う今日です。
さぁ、修行!修行!
若者さんへ
心強い言葉を有難う。期待します。頑張ってくださいね。いつでも困ったら電話ください。待ってますよ。
お久しぶりです。
久し振りにブログを拝見しました。
あいかわらずの研究熱心さに、ただただ感服する次第です。
これからも挑戦しつづけてくださいね