ドブズケで防滑処理したセラミックタイル???
姿なき敵に怯える?セラミックタイル業界
昨年の夏頃、協力会社であるセラミックタイルメーカーのS社より緊急の連絡が入りました。何事かと思い、さっそくS社へ出向きました。
担当者と現社長(当時は取締役)も同席された重々しい空気の中、社長が話し始めました。
競合会社の1社であるK社が、ドブズケしてセラミックタイルに防滑処理した商品を販売する
・・・・ナナナ何ですとう~・・・・(゚Д゚)ハァ?
K社は中国に生産工場を置くA社のOEM先であり、実は弊社とも10年来、友好関係のあった販売メーカーでもあります。残念ながら、ここ数年来音信不通の状態ではありましたが・・・。
セラミックタイルの競合では後発ではありますが、それなりに独自性のある製品を持つメーカーです。1つだけ紹介すると、関西国際空港に敷設されている軽量のタイルはK社の製品です。
漬物のようなセラミックタイル?
"ドブズケ”面白い表現をしたものです。聞いた人は勝手に色んなイメージをします。"水槽に溶剤を注ぎ込んで、セラミックタイルを漬け込む”みたいな思考になりますが、製造ラインを想定すると、そんな無茶苦茶なことはあり得ないと私は思います。
中和、洗浄、乾燥と続く工程を考えると、恐らくは、ディッピングの手法であると考えます。・・・A社がどれだけ滑り止め溶剤の研究をしたのか、興味は尽きませんが、簡単に"防滑処理済セラミックタイル”と言われてもねぇ。漬物作るんと訳違うでぇ・・・(漬物屋さんスミマセン。)・・・Σ(¯ロ¯lll)
サンプルはあるのか、S社の社長に尋ねると、”ない”と一言。そして、S社の社長の次の一言で内藤のプライドに火が付いてしまいます。
そりゃぁ元々は、御社が滑り止め溶剤を開発されたかも知れないけど、A社は、信頼できる会社だからね。
100年の恋が一瞬にして冷める瞬間でした。
元々、光沢を維持したセラミックタイルの滑り止め開発を依頼してきたのは、S社の先々代社長ではありませんか。"寂しかぁ。悲しかぁ。”怒りを飛び越えた感情とでも言いますか、そんな思いを抱きつつS社を後にしました。
社長が私を呼んだ理由は、大手コンビニエンスストアーが新設予定(250~280)店舗にセラミックタイルの採用を決定したことにあります。当然ながら競合他社との戦いになります。そこへ一歩先に踏み込んでいるのが、K社の防滑済のセラミックタイルだったのです。
ドブ漬けで事前に防滑処理したセラミックタイル
あらゆることが便利になったこの時代です。記憶に新しい北京オリンピックでは、開催中に大雨が降ったら困るってんで、その時は雨雲を爆破し吹っ飛ばしてしまうなんて話もありましたね。そのうち地球だって縦横自由に回せる時代が来るかも知れませんね。ホント。 次々と新しい発想、新しい物が出てくる事って良い事だと思います。
良い響きですね(滑りにニーズのある無垢な施設には)・・・。通常、世間がアッと思うような新製品を発表する場合には、その製品の機能を活かすために維持管理体制(サポート体制)まで事前に完備して置くものです。
そのためには、それなりの経験と知見が必要となりますが、滑り止めに関し製造元のA社と発売元のK社に、果たしてどれだけの経験と知見があるのか?考えてみるんですが、・・・ハッキリ言って無いと思います。
ただセラミックタイルを差別化し、優位性を持って売りたいだけだと私的には思っています。例えとして相応しいかどうか分かりませんが、パラドルの優子リンがその知名度を活かし焼肉店のチェーン展開で成功していますよね。焼肉店だからOKなんですよ。それなりに長年に渡り精通した人が現場に携わっているからです。
弊社が滑り止め溶剤を昨年まで一般向けに販売しなかったのは、全国的なサポート体制ができていなかったからです。サポート体制を整備するのに、滑り止めオタクの私ゆえに"技術的なこだわり”もあり、10年もの歳月を要しました。
餅は餅屋
滑り止めの工事の経験すらないA社とK社が、どこまで弊社もしくは、内藤の領域に食い込んでくるのかお手並み拝見?したいところです。
S社をはじめ競合他社の話によると、K社は一切サンプルを出さないらしい。出さないのか出せないのか知りませんが、物騒がせな事ですね。
競合他社の皆さん、恐れる事はありません。滑り止めに携わる私が言うのもナンですが、この業界は隙間産業ナンです。この隙間の狭間で智恵を絞り生き抜いてきた我々の領域に、ひょうたんから駒的な机上の論理は通用しません。
K社の気持ちも分からないではないが、「餅は餅屋」に任せるべきだと考えます。