シリカ系と石灰系の違い(滑り止め施工)について
内藤統括、最近サボり過ぎでは?・・・あちこちから暖かいお叱りを頂戴しておりますので正直に申し上げます。・・・〃サボってます〃
血が騒ぎ常に何かをやっていないと落ち着かない年齢を過ぎたのでしょうか・・・、全ての筋肉が緩みはじめ、血の巡り頭の回転も知らぬ間にかなり低速回転?にシフトチェンジしているようです。
シリカ系と石灰系の違いについて
最近講義している中で、受講者が最も興味を示したシリカ系と石灰系の床材の違いについて、少しだけ抜粋して書いてみたいと思います。
各種大理石・テラゾータイル・モルタル・砂岩・ギョウカイ石(十和田石・若草石等)は石灰系の床材で、磁器タイル・セラミックタイル・花崗岩等はシリカ系の床材となります。従って其々の床材に滑り止めを実施する場合は、施工溶剤の選定が基本(入り口)となります。
私の講義の中では各々の床材の成り立ち、成り立ちの違いによる組成構造の変化、反応性の変化等が教材を用いて説明するのでより理解し易いのですが・・・残念です。
基本的に石灰系の床材は全ての酸に反応します。ただし、使用する酸に同じ反応をする訳ではありませんから、施工溶剤として使用する場合は其れなりの経験とノウハウが求められます。・・・以下省略
シリカ系床材への滑り止め施工の基本
シリカ系については1つの基本があります。フッ化物+酸と言う単純な基本です。ハッキリ申し上げますが、未だに類似業者の皆さんはこの単純な基本の中で頑張っていらっしゃいます。故にもっと強くとか弱くとか反応時間に神経を使ったりとかになる訳です。
自然石の床材の組成構造、色彩、吸水性等々は成り立ちで各々変化があるのは当然で、その成り立ちを理解する事が肝要なのです。困難であり、ある意味で時間と金を浪費する事になりますが、これを克服しない限り、次のステップ(段階)には進めないのです。
克服しステップアップしたとします。次に重要なのは各々シリカ系床材の反応状態を知ることです。単純基本の溶剤を塗ると過剰に反応しシリカが露出し白っぽく仕上がってしまいます。滑りは十分に抑制されますが見た目の変化が激しく、また汚れも付きやすくなってしまいます。
シリカ系床材の共通点
シリカ系の床材として磁器タイル・セラミックタイル・花崗岩等を書き並べてみましたが、シリカの含有量についてはほぼ同レベルと考えて良いでしょうが、組成構造という点には其々に大きな違いがあります。シリカの含有量が同レベル?になる訳を一般的な磁器タイルを製造する過程を通して記してみます。
一例を有田焼きの茶碗と唐津焼の茶器茶碗を使って簡略的に説明します。
有田焼の基本原料
有田焼の基本原料は近隣で採れる花崗岩の一種です。石を粉砕し粘土を作ります。石だけでは粘土状にならないので澱粉等混ぜ合わせているようです。元々花崗岩に含まれるシリカ成分は75%前後ですから、焼き上げた製品にはシリカの一部が溶けるので透明感が出てきます。当然澱粉等は燃焼してしまいます。
唐津焼の基本原料
唐津焼の原料は赤土が主となります。使う赤土のシリカ含有量は石の半分以下になりますし、この状態で焼き上げると殆ど割れてしまいます。そのために、赤土にシリカ含有量の多い硅石や長石などの粉を補填し粘土をつくるのです。粘土をよくこねるのは空気を抜くためだけでなく、粘土にバラツキが出なくする意味もあるのです。更に釉薬(シリカ成分)を使うのは隙間を埋める為でもあるのです。
セラミックタイルの基本原料
セラミックタイルは更に手が込んでまして、原料となる花崗岩を粉砕する前に1,200℃前後で先に焼くのです。シリカ・アルミナ以外の不純物を除く事が目的のようです。事前焼結といいますが、その後微粉末にしアルミナを補填して粘土を作ります。この工程は有田焼の場合と類似しますが、その後2,000~3,000トンレベルでプレスしセラミックタイル適温1,280℃で焼き上げます。
以上焼き物として3点を例に挙げてみましたが、一般的な磁器タイルも同じ様な考え方で作られているのです。そこで共通点を見出すとすれば、シリカ・アルミナの含有量でしょうか。其々にバラツキはあるにせよ、75~99%が2つの成分で構成されているのです。
シリカ系床材の相違点
では、相違点はなんでしょう?
滑り止めを生業(プロ)とする皆さんには最も重要なテーマとなります。・・・施工溶剤の選択・・・十数年来、私が滑り止め業界に投げかけてきたテーマでもあります。
タイルを例に考えてみましょうか。施釉の可否・施釉量の相違・焼成温度・焼成回数・土にシリカ補填・陶石粉に粘生物補填・乾燥・加圧等々タイルを製造する材料や製造工程等の違いにより、其々に性格の違うタイルが誕生するのです。材料となる粘土の粒子構造・構成に相違が生じます。モースコード・吸水率・耐荷重性等々の数字相違の要因はここにあります。
施釉タイルはタイルの表面にシリカ成分が集中し、無釉磨きのセラミックタイルはタイル自体がシリカ主体であると考えるべきです。しかもセラミックタイルの粒子構成は極端な表現をすれば超微粒子でほぼ同じような大きさで、相当量の加圧を経たうえで焼成されるのでより緻密な構造構成となります。
ユーザーニーズは計り知れないほど多いものですし、ニーズが多いほどリスクは拡大するものです。
過去15年もの間、私が投げかけてきた・・・施工溶剤の選択・・・の意味はここにあります。其々に性格の違う石材やタイルには其れに準じた〃適合した溶剤〃があってしかるべきであり、溶剤に強い弱いと言った表現は不適切なのです。
「滑りが止まればいいんだ」と言う単純な思考
かつてオリジナルである米国の連中とのやりとりを一部紹介しますね。私が開発した溶剤を彼等に提した時、
内藤、多種少量ではビジネスにはならないよ。少種多量がビジネスの基本よ。
と言われました。そこで私は
基本は理解するが仮にユーザーに適合した溶剤を求められたら貴方達は対応できるのか?
と彼等に問い返しました。彼等の返してきた言葉は・・・。
我々は安全を提供する事が目的であり、現在提供している溶剤で滑りを抑制できるから何等問題はない。
・・・と言うことでした。
以降、『滑りが止まればいいんだ』と言う単純な思考のみが多くの類似業者に伝承され、もっと強く、更にもっと強くとエスカレートし『うちのは他社より良く止まる』となり、営業フレーズ化し世の中に定着したんですナ。
更に、『良く止まる』と言う流れに並行してエスカレートしてきたのが、滑りの測定値問題でしょうか。何でも基準化したがるのが世の常なんでしょうが・・・常識として単純化しないと認識されないなんて事を皆さんおっしゃいますが、単純化(基準化)した為に大きなトラブルに発展したケースが多発しているのは周知の通りです。
確かに、長い歴史(経験又は実用化)を経て小型化されたり、単純化されたモノは数えきれませんが・・・そうでないモノも数多くあるのです。
ならんモノはならんと言う事でしょうか。
我々の業界は誕生してまだ20年程度の歴史しかないのですが、携わっているその殆どが未だ先に述べた単純思考から抜け出していないのが現状です。
松下幸之助こと真似した幸之助さんは、ただ人の真似をしてきたのではありません。
単純に努力と言う言葉で表現したらそこまでなんでしょうが、自分が何をすべきか、使命がなんなのかを身をもって実践した人だと思います。何故?何故?の繰り返し。モノの1つの何故?を覗いて見れば顧客ニーズに対する想像力と未来思考を繰り返した経緯が見て取れます。モノづくりの原点はここにあると思います。
今回は無機系の床材の違いと共通点をテーマに簡単に記しました。毎度内藤は何が言いたいの?ってことになるんでしょうが、ご勘弁ください。
お久しぶりのブログ待ってました!!
ありがとうございます。
やっぱり内藤統括・・・現在は会長さんでらっしゃいますよね。
会長さんのブログは言葉がユニークでおもしろいですね。笑
内藤会長さんらしい言い回しです。笑
今回の内容を理解しようと思えば、講義を受けてないとエンドレスですよね!笑
講義を受けているであろう方々もエンドレスなのに・・・
提供者が無知では、安全を商品にしている我々は絶対にダメですね。
全国の提供者、私も含めてもっともっと勉強しましょう!!!
続きの内容楽しみに待ってます。
こんばんわ。
通りすがりのものです。
石灰系の内容をもう少し・・・お願いできませんかね?(笑)
自然石、いわゆる天然石の内容を詳しく知りたいです。
多くの業界者(社)は天然石をパスしているのをよく耳にしますし、見受けられるので。
なぜ、天然石をやらないのか?できないのか?
できるけども※※※※※とか。
過去に他社に話を伺ったときも、可能ですが・・・という答えが返ってきました。
一般人の私には、天然石の難しさがどこにあるのかさえわからないのです。
数多く存在する防滑業者の違いを教えていただければ幸いでございます。
お答えできる範囲で結構ですので。
返答お待ちしています。
いつもブログ拝見しております。
テーマのシリカ系床材について、中略の部分が・・・気になるのですが?
問い合わせ等でお答えして頂けるのでしょうか?
この中略に付随しているんだと思いますが、シリカ系との違い・・・石灰系という部分をテーマとして書いていただけると非常に有難く思います。
正直、建築関係者(私も含む)は石材についてほとんどが無知であります。
石材というものの、総合的な取扱いさえ知らないのが現実なんです。
こういった場で、基本をもとに考え方を教えてもらえるのは有難いですね。
是非、お願いします。