浴場施設管理者は有能な料理人に学べ・・・その1
時間がない・仕方がない・昔からこの方法でやっているから問題ない?・・・
25年もの間、聞き馴染んでしまった施設管理者の言葉。・・・①時間がないので・・②仕方ないんです。・・③昔っからこの方法でやってるから問題ない。・・④予算がない。・・・
この無い無いずくしの台詞を真正面から受け止めて改善策の提案を長~い事やってきました。・・それでも最近はお客様ファーストの思考が受け入れられてきたみたいで、私の提案を聞くだけでも聞いてやろうと言った施設もチラホラ出てくるようになりました。
大阪中の島に位置する老舗のRホテルを今回の事例として取り上げてみたいと思います。 老朽化の為只今、各箇所リフォーム工事中ではありますが昔からのスタイルに変化はありません。弊社とのお付き合いは、かれこれ18年にも及びます。
平成15年にRホテルからSOS級の男女大浴場の滑り止め施工の依頼を頂戴したのが始まりです。・・お客様が滑りかけた事があったそうで緊急で対応してほしいとの事でした。
施工当日は深夜、利用者終了後と言うのもあって室内はサウナ室状態。・・・大汗かきながらの施工と言う初めての経験でもあり記憶に残る現場となりました。・・・浴場内床は磁器タイルで、施工前の床面状態はヌルヌル・ベタベタで臭いにも少し違和感を覚えました。・・・一流ホテルの大浴場が、一般大衆浴場より悪評価を得る訳にはいきません。・・・当時の担当責任者は真剣で必死さが見受けられました。・・・基本的に真剣に取り込む人は大好きです。施工後の維持管理手法として私のノウハウの限りをマニュアル化して提供しようと思いました。
施工はSPレベル溶剤塗布が2回、アルカリ洗浄3回と通常施工の倍くらい時間を要しました。その詳細は下記のようになりました。
① 溶剤塗布・・・タイルの隙間を広げ、内部に固まって滞留している体脂肪を浮かせる。
② 重炭酸ナトリウムで中和・・発生する炭酸ガス作用で更に体脂肪を浮かせる。
③ アルカリ洗剤PH12レベルで大量に吐出した体脂肪を可能な限り中和分解。
④ 一旦お湯で洗い流し防滑効果を確認すると共に再度浮き上がってくる体脂肪の確認。
⑤ 溶剤塗布2回目は擦るように溶剤を塗っていき更に隙間を広げ体脂肪を浮かせる。
⑥ 再度重炭酸ナトリウムで中和し更にタイル内の体脂肪を浮かせる。
⑦ アルカリ洗浄2回目。今回はPH11.5レベルで中和洗浄。
⑧ 再度お湯で洗い流し防滑効果の確認。効果は十分ではあるが、まだ体脂肪が浮いている。
⑨ アルカリ洗浄3回目。今回もPH11.5で洗浄。
⑩ お湯で洗い流した後、防滑効果の確認。十分に効果あるが体脂肪はまだ浮いてくる。
取り合えず施工の手順を記してみました。・・防滑施工を経験された方々には何故そこまでやるのか疑問をもたれるかと思いますが、この手法が弊社の常識なのです。
つづく