SUBERANAI BLOG すべらないブログ

SLIP-OUTクローザー・・・誕生秘話・・・

    構想3年・・創作期間5年・・実証考察2年・・・その①ナノワックス登場

平成23年、熊本県八代市に大型スーパーが進出する事になり、懇意にしている九州の大手ゼネコンからSOSが入ってきました。・・・ナノワックスコーティング済のセラミックタイル本磨きを使う事になった。滑り止め対策が設定されているのでお願いしたい・・・。

ナノワックスとは今流に言うとシリコーン系樹脂コーティングの事です。・・・当時、ナノワックスは防汚対策を主な目的として利用されていました。

防汚対策とは?・・・

平成13年頃から本磨きのセラミックタイルが国内の至る所で採用される様になり、大手スーパー・コンビニ・デパート・パチンコ店等多くの施設が挙ってPタイルからセラミックタイルにシフトしていったのです。・・・特に店内に敷設するオフホワイト類の磨きのタイルは、明るくて清潔感があり、光熱費の削減にも寄与するって事が拡大の要因だったようです。ところが、思わぬ落とし穴が・・・汚れが落ちない?って事で各地でトラブルが多発するようになりました。

メンテナンス業者のモップ拭きと言った悪しき慣習がセラミックタイルに雲状なる落とし切れぬ汚れを付けていったのが、最大の原因ではありますが。・・・何故に雲状の汚れが付くのか、どうすれば良いのかと言ったウンチクは割愛させて頂くとして・・・この対策として役割を担ったのがナノワックスなのです。・・・密着性がよくて1度塗り込めば丈夫で長持ちするので以降のワックス掛けは不要であり、光り輝く表面状態を維持するのでどんどん普及していきました。

ナノワックスは私の知る限り40数年前、当時ベトナムの大手メーカーであるべネ・コネックス社がシリコーンと樹脂を混合し開発、特許取得したもので現在、一部改良されシリコーン系樹脂として認知されていると考えます。

中国の石材生産地の一部では昭和後期から平成にかけ、ナノワックスを使い、偽造磨き石を本磨き石と称して世界中に売りさばいていました。・・・日本の業者もかなり騙されたと聞き及びます。・・・何故騙されたと気が付いたのか?・・・当時のナノワックスは剥離剤で剥離出来たのです。・・・磨き石材のワックス塗り替えをする際に残留しているワックスを剥離剤で除去するのは必然ですが、剥離する都度、石の光沢が減少していく事で偽造が発覚したのです。

西暦2000年を迎えた頃に、セラミックタイル(ハイテックストーン)をメイン販売している(株)セラミカクレオパトラジャパンの明石社長(当時)に本磨きセラミックタイル専用の滑り止め溶剤の開発を頼まれる事に。・・・既に磨き花崗岩の滑り止め溶剤のノウハウを理解していたので以外と早く依頼に答える事が出来ました。・・・そしてこの溶剤が2003年、国交省協賛の建築技術展で賞を頂戴する程に評価され大変有難い出来事となりました。

 

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この記事を書いた人

内藤 憲道

内藤 憲道

多種多様の床材や状態に合わせて滑り止め溶剤を調剤し、美観をまったく損なわずに滑り止め効果をつくる防滑のエキスパート。溶剤系滑り止めでは、業界の第一人者。全国で活躍する防滑業者の多くは、内藤の理論がベースになっているとかいないとか。メンテナンス業界では防滑に限らず床材のドクター(研究者)として知られ、大手ゼネコン、タイルメーカーはもちろん、同業者から現場相談を受けるなど、(一部では)圧倒的な信頼を得ている。

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