SUBERANAI BLOG すべらないブログ

本磨き大理石の滑り止め。この仕事断りたい気分!!

先週S社の依頼で広島に行ってきました。広島駅の新幹線駅側周辺の変貌に唖然としましたね。かつて銀行員時代に生活した広島の面影は、JR中国バス本社を除き見渡す限りありませんでした。今回のテーマとなった建物は、その変貌の象徴でもあるような28階建てのビルです。

それは新種のウイルス(初めて見る床材)だった

敷設されているのは2種類の本磨きの大理石です。こげ茶色のマロンブライトとベージュ色の?私も初めて遭遇するものです。『やれやれ、やっぱり新種のウィルスであったか・・・』・・・私が今日も現場に立ち続ける理由の一つは。今回みたいなケースが多々あるからなんです。

S社から事前に情報を得ていたので現場で施工溶剤の調整をすべく、其れなりの材料は持ち込んでいたものの・・・暑い!・・・。

気温36度を超える中、ゼネコンの厳しい指示の下、ヘルメットに長袖の服を着用させられ溶剤の調合、調整を始めました。大理石それぞれのサンプルを相手に格闘する事約1時間・・・やっと納得できるレベルに調整が終わった時には、ズボンの中まで汗だくでしたよ。

この間、困ったのはヘルメットから滴り落ちる汗です。調整中の溶剤を塗布した石面に汗がポタポタ落ちると、その痕が残ってしまうのです。

現場担当者が大理石を怖がる理由

唯一幸いだったのは、溶剤の調整をしてる間、設計の責任者が立ち合ってくれたことですね。この担当者は以前に類似の業者さんに、同じように大理石の滑り止めを依頼した経験があり、その時の話を私に喋りながら付き合ってくれました。

設計責任者の話を聞きながら私が思う事・・・”ハハ~ン、この人怖がっちょるナ”・・・当然と言えば当然です。大理石ってぇのは石灰の固まりみたいなもんで、花崗岩に比べりゃ柔らかいし、如何なる酸にでも即座に反応します。

類似の業者さんや、そこらで売っている溶剤レベルで施工したどうなるか・・・滑りは間違いなく抑制されますが・・・設計担当者がいま怖がっている結果にしかなりません。・・・ 『だから今作ってるんですよ。』(o^-^o)

大理石の滑り止め施工で大切なこと

大理石の施工に重要なのは、溶剤の調合・調整だけではありません。塗布量も大きく影響します。もちろん均一に塗布するには担当者の技術も必要ですが、均一を手助けする界面活性剤の選択も重要となります。

約1時間の調整を終え、ようやく施工に取り掛かろうと時計を見たら11時を過ぎていました。大阪を午前3時に出発し、現場に7時30分に到着してから3時間、・・・腹も減ったし大汗もかいたし、先に食事を済ませる事にしました。・・・大理石の施工は、特に集中を要するからです。

花崗岩ならば、光沢と色合いを維持し滑りを抑制させることはさほど難しくはありませんが、大理石となると困難を極めます。しかも、くそ暑い中で長袖の服を着せられて?の作業です。・・・集中を切らさずうまくいくかどうか・・。

滴り落ちる汗・・・暑さとの格闘

早めの昼食を済ませ、現場へ戻り、施工開始です。施工面積は1・2階合わせて170平米程度ですが、調整液と塗布量との兼ね合いもあり、施工時間は通常の1.5倍を想定して塗布していきました。

息を止め、毎回所定量を所定数塗布していきます。5分も経てば汗が目に染みてきました。手を止めその都度、顔とヘルメッをタオルで拭き取りながら塗布作業を続けます。やがて床に汗がポタポタと・・・”ヤバイ”・・・

直ぐに手を止め、ヘルメットと床を間髪入れずに拭き上げ、フーッと一息。下を向いて床に集中して塗布しているのですから、汗にまで気が回らなくなるのです。

1階部分を塗り終えた頃には、年ですかね・・(*´ェ`*)・・のどは渇くし、もうフラフラになりましたよ。当日の現場新規入場の手続きの際に、ゼネコン担当者から説明されたルールは・・・

  • 現場施設内・近隣施設での飲食は厳禁で、飲食休憩は休憩所を利用すること
  • ヘルメットを被らなかったり袖を捲ったりした者は即刻退場

一般的で当然なルールですがね。その休憩所って言うのが、現場から5分もかかるんですよ。ヘルメットして長袖着て水分補給するために、たびたび行ってられませんよね。

ヘルメット着用は分かるか、この暑い中長袖の義務とは・・・

元々、私が建築土木の業界で育ってないこともあるんでしょうが、未だにこの手のルールには違和感を感じています。通常、滑り止め施工は新設の建物の場合、引渡し直前か内装工事等が終わってから実施します。従って落下物や転落、組んである足場等で頭を怪我したりすることはないのです。

特例を除き現場作業員が機材を搬送するため、頻繁に往来することも殆どないのです。ヘルメット着用は工事関係者ですから納得できますが、このクソ暑い中、汗も落とせない集中力を必要とする現場で、長袖着用はないやろ・・・なんてボヤキながら・・・

実は当日、半袖を着用して行きまして新規入場の手続きの際、ゼネコンに怒られたんですよ。現場では長袖が常識だろうってね。

通常は事前にゼネコンに現場の特殊性を説明し、了解を得てから仕事を請けるんですが、S社がその交渉をしていなかったんですね。慌てたS社の担当者は直ぐに長袖を準備してくれましたが、それが厚手の生地でしてね。・・・まぁ色々とありましたが、それでも午後4時半には無事施工終了となりました。

ヘトヘト後の達成感

他の業者さんでは対応できない特殊性を求められる現場は、いつものことですが大変に疲れます。・・・ヘロヘロになってしまいますが、仕上がりと効果を確認した後は・・”よし!今日も良い仕事ができた”・・と快い満足感を覚えることで疲れも癒されます。

しかしながら、相見積もりの中での施工価格は、決して満足出来るものではありません。技術力・ノウハウと言うものを設計・ゼネコンが、まだ理解し得ない現況下では、私もそこらの一人の職人でしかないのです。

官民問わず、価格のみが先行する変な流れが続く昨今、〃生き延びる為には黙ってやるしかない〃って事になるんでしょうが、15年前に私が描いた滑り止め業界の発展的な構想が捻じ曲がってしまったような感覚さえあります。・・・まだまだ苦難の道は、果てしなく続くのか・・・

この記事を書いた人

内藤 憲道

内藤 憲道

多種多様の床材や状態に合わせて滑り止め溶剤を調剤し、美観をまったく損なわずに滑り止め効果をつくる防滑のエキスパート。溶剤系滑り止めでは、業界の第一人者。全国で活躍する防滑業者の多くは、内藤の理論がベースになっているとかいないとか。メンテナンス業界では防滑に限らず床材のドクター(研究者)として知られ、大手ゼネコン、タイルメーカーはもちろん、同業者から現場相談を受けるなど、(一部では)圧倒的な信頼を得ている。

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