ショッピングモールトイレの美装
本来、直接的には請け負わない分野なんですが・・・
F氏とのヒアリングで私が知りたかった事はただ一つ、汚れが取れなくなった要因です。・・・
弊社は通常、滑り止め施工が完了すると、お客様とのヒヤリングの時間を頂きます。・・・安全性をキープさせる為に、そこの施設にあったメンテナンスマニュアルを作成する為です。・・・洗剤の選択、取り扱い方法、希釈量から使用量、再発時の対応策に至るまで指導しますが、重要なポイントは従来お客様が実施してきたメンテナンスの実態を知る事にあります。
ヒヤリングの中で、F氏がこの施設を担当した2年間で汚れを除去する為にメインとして使用してきた代物が判明しました。・・・M社の製品でPH1レベルの汚れ除去溶液でした。・・・確かに最初は簡単に汚れが取れますが、定期的に使い続けると徐々に汚れが残留定着し、今回のケースに発展する事が多いのです。・・・便器の釉薬に陰りがある事、汚れが黒ずんでしまっている事等で、M社の汚れ除去溶液には少なからずフッ化物が配合されていると考察します。
釉薬の主成分はシリカ(結晶性ケイ素)となります。・・・フッ化物は酸性物質と反応しシリカを溶解させる能力を得ます。・・・タイルや石材にもシリカ成分は20~50%と人工的混合するものを含め入っています。・・・釉薬はシリカを主成分としている為、タイルや石材と比べれば酸性のフッ化物に過剰反応するのは当然の事です。・・・
2年もの間、汚れては溶かして除去を繰り返していくうち釉薬にミクロ単位の凹凸と隙間が多発したのでしょう。・・・つまりは隙間に入り込んだ汚れが黒ずんで見えている訳です。・・・爪の中に入った汚れは爪の上からでは決して取れませんが、・・・今回ご依頼の便器の汚れの要因はしっかりと理解できました。・・・
まあ時間は掛かるがこの程度の事なら弟子に任せようと思っていたのですが、・・・『ご指名』でしょう?と妻に言われて・・・初めて¨美装のみ¨の見積りを提出。・・・滑り止めとは勝手が違うので悩みましたよ。・・・汚れをスムーズに除去する為に使用する溶剤の検討・中和・乾燥・仕上げコーティング剤の濃度調整などシュミレーションを基に事前準備を開始。
施工日が決まり、現場研修の意味もあり、応援のため直近に指導した弟子達に電話。・・・喜んでって事で6人が参加してくれる事になりました。・・・本来は何をどう使ってどうやったのか詳細を記すべきなんでしょうが、毎度答えを記さないのを建前としているブログ故にお許しを。・・・3日を予定していましたが、手慣れた人数も揃い、段取り良く作業が進み2日で終了。・・・シリカも十分に補填出来たと思います。・・・ピカピカ状態に戻した事でF氏は結構喜んでいたようでした。・・・後はメンテナンスマニュアルをしっかり実行してくれる事を願うばかりです。
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