滑り止め:安心安全で快適な歩行空間へと変化・・・浴場編
本日は浴場の滑り止め施工をご紹介していきたいと思います。
浴室の洗い場前を拡大しています。浴室と言えば体脂肪の油汚れが滑りの要因のひとつです。しかし、油汚れだけが滑る要因ではなく、床材の材質・シャンプーや石鹸の残留(石鹸カス)も要因です。
浴室浴場やプールサイド等の滑りの問題は特に難しく、上記のような要因含め汚れや水質の知識、日々のメンテナンスを把握したうえで望まないと持続する滑り止め効果及び美観は維持できないと思慮致します。
では、まだ知らない方やスキルアップの方のためにそれらをひも解いて簡単にご説明しましょう。
脂汚れ
大きく分けて、
- 浴場やプールサイド等:体脂肪の油脂汚れ
- 玄関エントランスや歩道等の外部:鉱物油(排気ガス)の油汚れ
- 厨房や飲食店等:植物油の油汚れ
等に分類されます。
それぞれの汚れには特徴があり、現場環境によって左右されるものでもあります。どれも油汚れは同じという考えでは、つまづく可能性は大いにあります。
今回のテーマである浴場の油汚れは・・・体脂肪ですよね。
体脂肪の油汚れの特徴
体脂肪の油汚れの特徴は、冷えた時固まり温度が上がると溶ける。といった特徴があります。いわば、ラードをイメージして頂けたらわかりやすいと思います。
例えば使用していない休館日や営業前は冷えて固まっている状態なのでそこまで滑りやすいと感じていない方がほとんどです。しかし、使用中、営業中の温度が上昇している状態では、日々蓄積された体脂肪の油汚れが一気にとけだし、お客様等からのお言葉が少なくはないはずです。
ここに感覚のギャップが生じているのはおわかりですよね?体脂肪の油汚れの特徴を知らないが故に生じるギャップなのです。正直、メンテナンスをされている方々も実は知らないのが実情でもあるのです・・・。
石鹸やシャンプーの特徴
界面活性剤は、水に溶かしたときに
- 電離してイオン(電荷をもつ原子又は原子団)となるイオン性界面活性剤
- イオンにならない非イオン(ノニオン)界面活性剤
大きく分類されます。
イオン性界面活性剤はさらに、
- 陰イオン(アニオン)界面活性剤
- 陽イオン(カチオン)界面活性剤および両性界面活性剤
に分類されます。
イオン性による分類に加えて、親水基や疎水基の種類や原料によってさらに細かく分類されます。
上記に記載した通り石鹸やシャンプーにもこれらを含む特徴があります。一生懸命ゴシゴシしても取れなければただやっているだけにすぎません。これではやっているとは言いにくいですよね。洗剤が悪いわけでは、決してありません。無知だからです。
汚れの攻略には、まず汚れはなにものであるか・・・洗剤はなにであるか・・・等を、学習する必要があり、さらに経過すると汚れの種類が変化していく、変化したものにはこの手法、洗剤の選定・・・と応用していく必要があります。
極端に言えば、エリアのローテーションを組んで洗剤を使わず水だけで洗浄するのもひとつです。(洗剤の残留を防ぐ為等)
石鹸カスや洗剤の残留が滑りの原因となることも、大いにあるのを理解していただきたい。
- 床材の材質+体脂肪の油汚れ+石鹸カス及び洗剤残留=すべりの要因
- 滑りの要因-(SLIPOUT『ME工法』滑り止め施工+適正で的確なメンテ)=安全
- 安全+(知識×判断)=快適で安全な歩行空間維持
皆様によくお話しさせて頂くことですが、ランニングコストを含めたトータルコストで現場の状況と照らし合わせて判断してくださいとお話しています。
ただ単に安いからとかではなく、よく現場の環境及び状況を判断し、またよく知り適正で的確なものを選定することが大きな近道であるとわたしは思います。
わたしどもは、これらを把握し滑りを止めたり、汚れを除去し安全で快適な歩行空間をご提供させて頂いています。滑り止めを実施することで、美観も甦るという付加価値をみなさまへ届け、さらには維持・継続へとバトンタッチするのもお仕事のひとつだと思っています。
内藤流に表現すると、私どもは手術をし(施工及び工事)、その後処方箋を出し(メンテナンスマニュアル)、メンテナンスをされるかた等にはそれぞれにあった常備薬(洗剤や洗浄剤等)を使用して維持管理する。
現場も機械も、人間と一緒です。
合ったものを探し、見つける!そして継続する!
この世にメンテナンスフリーというものは、存在しないと私は思います。次回よりこれらを含めて、ご紹介していきますので宜しくお願いします。