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雪駄は滑る???お寺さんにて

お寺さんの施工現場で・・・

つい先日の事。滑り止め修行中の前田さんから電話が入ってきましてた。当日は、お寺の石造り(磨きの御影石)の階段の施工日だったんです。施工は順調に進み、効果の確認作業まで終えて、施主であるお寺の住職に最後の確認をしていただく事にしました。

『まだ滑るように感じますが・・・』・・・住職は雪駄を履いていらっしゃいましたが、修行中の彼は、雪駄だから滑るのではないかと薄々感じてはいても確信が無いのです。

こういう場合には即刻、頼みの内藤ってな事になる訳で、私の携帯電話の呼び出し音が鳴ります。師匠は大変です。何なりと答えてやらないといけませんから。

私は彼に、今回の磨きの御影石に対応する専用溶剤の配合を指示し、再度塗布するよう指示しました。その結果、住職も納得した安全レベルを提供する事が出来たようです。

もちろん我々の技術の特徴でもある光沢維持は確保できていますが、雪駄の滑りをキチンと止めるのは基本的には難しいのです。私は前田さんにその理由を話してやる事にしました。

雪駄(せった)の語源、雪駄は誰が考案したのか?

一説として、考案者は千利休なんです。

利休がある茶会に行くのに草履を履いて雪道を歩くのに滑って不便(危ない)だからってんで、草履の裏に蛇などの皮を張ったというのが最初で、雪駄の語源もここからきているのです。

現代の雪駄のつくりかた

ついでに、現在の雪駄がどのように作られているかと言うと、竹皮草履の裏面に皮を貼り、防水機能を与え湿気を通しにくくしてあり、皮底の踵部分にプロテクター(後金)を取り付け、痛み難く丈夫で長持ちするよう考えられています。

お坊さんがいつ頃から履きだして、定着したのかまでは分かりませんが、私的には草鞋(わらじ)のイメージが雪駄にあるように思います。

さて、ここで本題に戻りますが、千利休の滑り対策の発想から生まれた雪駄が現在は、最も滑りやすい履物の一つとされているのは非常に残念な事だと言わざるを得ません。

安全安心の為に発想されたものが、ある意味において、ファッション性と耐久性が重要視されてしまい、安全性の根幹が勘違いされている様に思います。・・・前田さんも最近、トークが上達したのか・・・

住職、これでこの階段は参拝される皆さんが安全に安心して歩けるようになりました。本当に良いことされましたね。きっと皆さん喜ばれると思いますよ。

この一言に住職も大変に喜ばれたようです。

この記事を書いた人

内藤 憲道

内藤 憲道

多種多様の床材や状態に合わせて滑り止め溶剤を調剤し、美観をまったく損なわずに滑り止め効果をつくる防滑のエキスパート。溶剤系滑り止めでは、業界の第一人者。全国で活躍する防滑業者の多くは、内藤の理論がベースになっているとかいないとか。メンテナンス業界では防滑に限らず床材のドクター(研究者)として知られ、大手ゼネコン、タイルメーカーはもちろん、同業者から現場相談を受けるなど、(一部では)圧倒的な信頼を得ている。

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