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滑り転倒事故の訴訟で、再鑑定を依頼された話。裁判所も悩んで当然?

某テレビ局から、いきなりのSOS

3年前の話です。
某テレビ局から私を指名の電話が入ってきました。・・・オレ何も悪い事してないけどなぁ・・・なんて思いつつ電話に出ると、電話口から「助けてほしんですが」と、いきなりSOSを発信されました。

実は私、某テレビの報道番組のキャスターをしてまして、今、滑り転倒事故裁判を追っかけています。

被害者側の立場で報道番組を続けているんですが、現状裁判の流れが被害者不利に傾いています。
その大きな理由が、裁判所が呼んだ滑りの専門家による、現場の床の滑りの鑑定にあると考えられるんです。

何とかその専門家に対抗できる人がいないか探していたら、ある人から内藤さんをご紹介頂いたもので・・・。

翌日、そのキャスターが私の事務所に訪れました。そして滑り転倒事故の一部始終から、3年以上も続いている裁判の流れに至るまでを詳細に説明してくれました。

あなたには正義はないのですか?

要は私に事故現場に行って再鑑定をしてもらうことと、その結果を踏まえ、弁護士と会って私の見解を述べてほしいと言うことです。

お安いご用?と言いたいところですが、実は困ってしまいました。実は被害者が訴訟している相手と云うのは数年来、滑り止めの営業を重ねている先なんです。ヘタな行動は弊社のロスに繋がります。大変なテーマが飛び込んできたもんだと考え込んでしまいましたよ。・・・ホント・・・

事情を話して当然の如くお断りしたら、このキャスター殺し文句を言うんです。

あなたには正義はないんですか?

・・・ホンマに嫌な奴やなぁ。

ビジネスの世界は、利益に繋がる事が正義だ!!と・・・喉元まで出て来たんですが・・・言えませんでした。

人助けが金儲けに繋がらない事を経験上、誰よりも人一倍承知している私?なんですが「正義がないのか」の一言で、「判ったやりましょう(u_u。)」・・・てな訳で被害者の為、微力を尽くすことになってしまいました。

うまくやられたなって感はありますが、展開の流れを書いていきます。

転倒事故現場で再検証

私が現場検証に出向くってことで、当日は被害者とその家族、弁護士、そしてテレビ局の撮影班が勢揃いしました。

「正義はないのか」の殺し文句を受けての出動となった訳ですが、いまだに胸中は複雑でした。滑り転倒トラブルの場合、その要因や背景は複数絡むので、滑って大怪我をしたから、その人が被害者で、その施設管理者が加害者って単純に判断はできないのです。

大怪我を負ったご本人へのヒヤリング

そこでまず転倒し大怪我を負ったご本人から、当時の事情を聞くことから始めました。

ご本人の話

  • 当日は雨が降っていた。
  • 自転車で買い物した帰りの出来事。
  • 駐輪場に止めようと通路を右折したら滑った。
  • 施設管理者に文句を言ったら、施設内通路の自転車走行は禁止している。押して歩かないからでしょう・・と一蹴された。

・・・ナルホド。

それで納得いかない被害者は、訴訟も視野に入れ、その他の施設居住者に向けアンケートをとりました。

すると過去、同じ通路で歩行中に滑って怪我(骨折を含む)した人が数名いること、日頃からこの通路が滑るので困っていると言う内容の回答が全体の70%を占めていることが判明しました。

ナルホド。・・・そこで損害賠償と改善を求めるために訴訟をしたんですね。・・・ところが思ったようにいかないのが裁判。いい加減な鑑定が裁判を長期戦へと導いてしまうんですナ。・・・ヽ( )`ε´( )ノ

某大学の専門家の鑑定結果

裁判所は訴訟事項確認のため、現場検証に例の某大学の先生を専門家として派遣し、滑りの鑑定をさせました。もちろん例のCSRの開発者ですよ。

その鑑定結果は・・・

やや危険、またはどちらとも言えない。

と、なったみたいです。・・何とも訳の分らん鑑定に、さぞや裁判所も困ったことでしょうね。この鑑定をもって裁判審議をする???3年以上も裁定不能状況になってしまったのもある意味納得できます。

某先生の思惑

で、私は理解しました。”某先生は、摩擦と滑りが別物であることを承知しているナ。”・・・だから自分の名誉を守るため、裁判がどちらに傾いてもホコ先が自分に向かない様な鑑定書にしたんでしょうね。・・・ホンマいい加減ですがナ。

裁判は何故か施設側が優位な流れとなり、慌てたのが報道番組として追っかけ取材していたテレビ局。そして白羽の矢としてドラフト指名を受けたのが私であった訳です。

鑑定の収録へ

さて被害者ご本人とのヒヤリングを終えて、いよいよ収録の開始です。そこで私は、テレビ局と被害者に1つだけ約束してもらいました。

  1. これから私が思うまま動き、喋りまくる全てを収録したら編集(手を加えずに)せず、弁護士を通じ裁判所に提出すること
  2. 裁判所に提出したDVDと同じものを某大学の先生に送ること

おそらく1か月内外に、鑑定結果の変更があるでしょう。何故かって?・・・上記に書いてますよね。それ故です。

どちらが悪い?私は裁判官ではない!!

撮影が始まりカメラが私を追っかけます。あんまりいい気がしない中、被害者を連れ持って検証に入りました。潜在意識をリセットし、まずは床の検証。

床に水を撒き普通に歩いてみます。別に違和感はありません。次に急ぎ足・そしてゆっくり走ってみました。危険を感じる程に滑りを感じました。

急ぐ・走るの動作は歩幅が大きくなる関係で、床に着地する踵(かかと)角も当然大きくなります。そこへもって床への着地面積が小さくなること、そして必然的に踏み込む力(ダイン)も大きくなり、比例的に伴う体重移動の力も大きくなってしまいます。

アぁ、よー滑るなぁ

私の呟きを聞いてキャスターと被害者は大喜びしています。が、次の過程で被害者は、少し不安な顔を見せることになります。

床の滑りが危険な状態なのは確認できたが・・・

床が危険レベルであることは確認できました。だからと言ってこれでハイ終わりって訳にはいきません。この経緯を裁判所に提出するんですから、それこそ滑りの専門家としての私の所見も重要となるはずです。

事故って必ず相対する起因・要因があります。床が滑るから滑った?だけで訴訟となれば、日本国中訴訟の乱れ打ちとなってしまいます。

この被害者は大腿部の複雑骨折という大怪我をし、数か月入院及び治療を必要としました。紛れもない事実ですし、対する施設側の対応に憤慨してるのも当然と言えば当然なことであります。・・・ですが、施設側の言い分にも道理はあるのです。

施設内の通路の自転車等は、降りて押して移動するよう掲示板もあれば指導もしていたと言う事実があります。にも関わらず雨の日に自転車で買い物した帰りに、自転車に乗った状態でスリップ転倒した訳です。

ハッキリ言って危険運転をしていたんですよね。・・・実は、私の誘導的な質問に被害者が話した内容が、自転車の危険運転としか私には映らなかったんです。・・・「自転車の前の籠に買い物を一杯入れ、傘をさして帰ってきた」・・・危険な床に不安定な自転車、そして不安定な運転となれば、滑ったのはある意味当然なんですよ。

私のこの発言に、被害者のご主人が憤慨しました。

私はどちらの味方でも敵でもない。

でもね、滑りの専門家としての見解ですから、正直に私の考えを話しただけですよ。だから検証の始めに収録の編集(手を加えるな)に条件をつけたんです。私はどちらの味方でも敵でもありません。

しかしこれで裁判も一気に進展するはずです。少しは滑りというものがどういう事なのか分かってもらえたと思いますから。・・・判定の落とし所と言いますか、

  • 施設には、滑る床には其れなりの安全対策を約束させること
  • 被害者には落ち度もあるが、滑って当然の床で転倒し大怪我したんだから、其れなりに話し合いを持たれたら???

ってところで、私の検証は終了となりました。

数ヶ月後、施設側と被害者が和解したとの情報が入りました。施設側は全国の施設に滑り対策を実施することを約束し、被害者に数百万の和解金を支払ったようです。

それから例の某大学の先生ですが、予想通り鑑定結果を”非常に危険”と修正したみたいです。

この記事を書いた人

内藤 憲道

内藤 憲道

多種多様の床材や状態に合わせて滑り止め溶剤を調剤し、美観をまったく損なわずに滑り止め効果をつくる防滑のエキスパート。溶剤系滑り止めでは、業界の第一人者。全国で活躍する防滑業者の多くは、内藤の理論がベースになっているとかいないとか。メンテナンス業界では防滑に限らず床材のドクター(研究者)として知られ、大手ゼネコン、タイルメーカーはもちろん、同業者から現場相談を受けるなど、(一部では)圧倒的な信頼を得ている。

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  1. 園田 より:

    統括、こんにちは。
    こちらの巷で新型インフルエンザが大暴れしております。
    その節は、短い時間でしたが大変お世話になりました。
    心機一転、またSTAは頑張ります!
    統括や稲垣さん、やす子さん(名出しですみません)が
    いるからこんなSTAでもやれているんだと本当に頭が下がります・・・。

    さてさて統括、滑りを数値で表してくれという方にたま~に会います。
    必ずしも必要なのでしょうか!?
    もちろん、あったほうが良いのは頭では分かりますが、それがすべてではないことも
    分かります。どのようにしてクリアすればよいのでしょう?

    • 内藤 憲道 内藤 憲道 より:

      園田さんへ
      返事遅くなって申し訳ありません。

      滑りを数字で示せないかと言った話は多いですね。
      数字を求める皆さんは、基本的に滑りと摩擦を同じものだとインプリント(刷り込み)していて、その思考の枠から抜け出せないのです。目安としての数字は確かに必要です。

      だからと言ってCSR・BPNが○○以上ないとダメだって言う地自体・企業は、目安ほしさ故、滑りを知らない摩擦研究者の狭い視野での無茶な論説に、赤信号皆で渡れば・・・と同じで確信犯的に乗っかかっているだけです。

      だから裁判で皆負けるんですよ。・・それでよければ数字出しましょうか?

      園田さん、こんな手はどうだろうかな。一度使ってみては如何でしょうか。あくまで数字として提出する場合は、私の持論である相対比較を基本として下さい。・・・ただし、始めっから滑らんタイルもあるでしょうから、それは比較も何も必要ないので、その時に計測した数字を安全レベルとし提出すればいい。

      それでもって、じゃぁ数字がどれくらいになったら滑りだすか?って聞くアホな人には適当にアホな答えを言ってやりなさい。・・そんな事、今分かる筈ないじゃん。(本音)

      滑りはいつも言っているけど五感・五官の世界。それ故に、現時点においては、滑っている時の数字と滑りを抑制した後の数字の相対比較で表現するしか方法はないと私は思っています。

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