SUBERANAI BLOG すべらないブログ

マイクロメーターからナノメーターへのスタッドレス化へ

         溶剤技術と床材の特性とメカニズム・・・そしてその引用       

    その3  【 本磨きセラミックタイルと本磨きと称するセラミックタイル 】

20年前の本磨きセラミックタイルと言えば7000円/㎡~10,000円と大変高価なタイルといった認識がありました。・・・材料は粘土ではなく石を超微粉末にしたもので、2,500~5,000トンとメーカー各社の思惑でプレスされ・・・温度も1,280°を基本べースとして焼成し、更にダイヤモンドパットで本磨きを施し製造されるものですから高価なのは当然と言えます。

美しいものに魅力を持つのは万人共通したところでしょうか需要は拡大していきます。・・・高級感・清潔感・メンテナンスが簡単と言ったセールスポイントを軸に大手コンビニエンスストア・パチンコ店等が導入。・・・それからホテル業界、全国展開する大手スーパーへとマーケットは拡大していきますが、実はその間に磨きセラミックタイルも大きく変化しているのです。

高級感・清潔感・・・そして綺麗だけど・・・高嶺の花(高価格)には近づきにくいものです。・・・そこで中国メーカーは考えます。・・美人でない物を美人にすれば良いのです。・・・そうです見た目が同じであれば良いのです。・・・そして作り上げたのが2,500円/㎡レベルで流通している現在の¨磨きセラミックタイル¨なのです。・・・とっても美人に仕上がっているので¨整形美人¨だとは誰も気がつきません。・・・辛辣な表現で怒られそうですが皆さんに理解して頂く為だとお許しを。・・・

元々ある物に整形手段を施すと大きなコスト負担となりますが、初めっからコストダウンを目的として制作するので問題ないのです。・・・磁器タイルにセラミック部を圧着した2層式・・・そして本磨きする事で単価を下げたのを1回目とすれば、・・・2回目としては2層式にしてから時間と材料コストの掛かる本磨きを止め、塗れば磨いたように見えるシリコーン系樹脂コーティングを施す事で極端なコストダウンに繋がり2,500円/㎡が実現したのです。・・・施工費は別としても、Pタイルでも3,000円/㎡程度の初期コストを考えれば以降のワックス等のランニングコストが不要となる訳ですから大型店舗には歓迎されて当然の事。更ににそのシェヤーは拡大していきました。

さてセラミックタイルの変化についてのウンチクはこの程度にして、この変化が滑り止め業界にとっては大きな痛手を被る事になります。・・・数年前にも記載していたと思いますが、セラミックタイル専用施工溶剤は2002年頃に内藤が開発したものです。2003年11月国交省協賛の展示会において賞を頂いた後もオープンにしていたんですが、福岡のミヤキさんが数年後に類似品を販売しだしてから認知されてきた様に思います。・・・何故大阪セーフティでなくミヤキさんなの?って言われる事も多々ありましたが、・・・それで良いのです。・・微々たる弊社の営業力より全国展開し得るミヤキさんに頑張って貰ったお陰で・・・其れなりの土俵ができたのですからね。・・・実は正直に言うと内藤には思惑があったのです。・・それは近い将来、必ずシリコーン系樹脂コーティングによってセラミックタイルの流れが変わると考えていたのです。・・・つまりは時が到来すれば当時の施工溶剤では防滑対応出来なくなる事です。

2015年に一旦現場を離れ、研究開発に専念した経緯は以前に記したので割愛しますが、2021年の情報でミヤキさんセラミックタイルから撤退と聞き及び、・・・そりゃそうだろう・・・と得心した次第。・・・世の中には真似出来るものと出来ないものもあるのです。真似すると言う事は勉強努力すると言う事で悪い事ではないと思っていますが、新しい分野は己で模索するしか道はないのです。・・・とは言え内藤は再びミヤキさんが頑張って同じ土俵に上がってくる事を期待しているのです。・・・戯言はここまでとして・・・

本磨きセラミックタイルと本磨きと称されるセラミックタイルへの防滑における隙間構成について記しますが、本件は基本的に数字化が不可能に近いのであくまで内藤の想像と想定を主観としています。

本磨きセラミックタイルに構築する隙間は仮定として20~50ナノレベルの範囲であれば滑り止めの効果を発揮し光沢もほぼ維持すると考察します。・・・この程度はミヤキの製品でも施工は可能でしょう。・・・問題は本磨きセラミックタイルと称されるセラミックタイルにあります。・・・この手のタイルは大きく分けると2種類で施釉とコーティングされたものがあります。・・共に厄介ですが、最も厄介なのがコーティングの種です。シリコーンの含有量や塗膜厚の違いが防滑に影響するのです。・・・

料理の世界で例えるなら・・・私は一定のスープを¨塩¨という調味料で¨コク¨と言う感覚的な味の変化を表現したりしますが、それは提供する人の味の好みを察しているから出来る訳ですが、滑りと言う感覚的なものは全ての人が旨い(安全)でなければ意味をなさないのです。・・・新商品の開発に至っては、再びここでつまづき1年を余分に費やしてしまいました。・・・どうすれば誰もが納得する¨塩¨を作れるのか・・・足かけ10年でようやくシリコーン系樹脂コーティング済セラミックタイルの防滑専用溶剤を完成させたと思ったら又怪しげな影が立ちはだかってきたのです。・・・が、解決策は既に出来ていました。・・・ただ受注施工なら何の問題もないのですが私が販売をメインにしたいなんて言い出したもんで・・・ひと悶着はありましたが、特許申請するならOKって事で販売に踏み切る事になった次第です。

開発した溶剤ネタの1つK-1(塩)を上手く使える工夫さえすれば良いのです。K-1の分量変化で1~10ナノの隙間をシリコーン系樹脂コーティングに形成出来れば誰にでも防滑施工が可能になるのですが、1つだけ悩ましくって不可逆的な事が発生したのです。・・・コーティングの塗膜が薄い時にタイルとコーティングの間に、部分的に水分が残留する場合があります。・・・本来は溶剤ですら通さないので防滑出来ないとされるシリコーン系樹脂コーティングなんですが弊社の新商品はその塗膜に反応し更に塗膜を通過してしまうのです。・・・コーティング剤は硬化する際に凝縮するのでタイルとの間に部分的に空間が発生します。その僅かな空間に水分が滞留してしまうのです。・・・いづれは毛細管現象で蒸散して消滅するのですがね。・・・このようなタイルの特徴を知らないタイル業者やゼネコンさんが¨何でこうなるのか?¨¨何とかしてくれ¨等クレーム的な事を言う場合もありますが・・・不可逆的な事項故に施工の際は事前に打ち合わせしといた方がいいですね。・・・ハッキリ言って問題は安く仕上げたタイルにあるのですから・・・

足かけ10年もかけたのです。・・・内藤は独占主義者でもありませんし、かつてポール・チョウが私にかけてくれた温情も忘れてはいません。ただみんなに使ってほしいのです。・・・塗布量を気にしない・・塗り方も気にしない・・10回塗りなおしても殆ど表面変化しない・・水も少量しか使わない・・・磨きセラミックタイル専用SLIPOUT滑り止め洗剤ですが、販売方法は只今検討中です。

 

つづく

 

 

 

 

 

 

この記事を書いた人

内藤 憲道

内藤 憲道

多種多様の床材や状態に合わせて滑り止め溶剤を調剤し、美観をまったく損なわずに滑り止め効果をつくる防滑のエキスパート。溶剤系滑り止めでは、業界の第一人者。全国で活躍する防滑業者の多くは、内藤の理論がベースになっているとかいないとか。メンテナンス業界では防滑に限らず床材のドクター(研究者)として知られ、大手ゼネコン、タイルメーカーはもちろん、同業者から現場相談を受けるなど、(一部では)圧倒的な信頼を得ている。

  1. 九州女子 より:

    統括、これからの床面セラミックタイルで埋め尽くされるでしょう。あ、もう埋め尽くされてるか。いまや大手スーパーやドラッグストアなども床一面にセラミックタイル。

    かつて某電気屋さんで風除室とトイレスペースを施工しました。もちろん、セラミックタイル。施工自体は難なくでしたが、洗い流しと乾燥にかなりの労力を費やしたこと思い出しました。

    つづく…

  2. 内藤 憲道 内藤 憲道 より:

    園田さんへ

    SLIPOUTクローザーは基本、水を使わない事を目的として開発したのですがセラミックタイルにコーティングされたものが主流となった為にKー1(塩)での調整を余儀なくされた為、本音を言うと現時点では満足してないのですよ。・・・想像想作の中で生まれたSLIPOUTクローザー故にまだまだ課題は山積みではあるけども・・いつかはきっと目的を果たしたいと考えていますよ。(ボケないうちに完成すればいいけどね。)

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