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美しいコバルトブルーのタイルを復活させよ!10年振りのマンション再施工【後編】

施工2日目。幸いにもよい天気となりました。剥離と滑り止め施工を終えたタイルに、あの見事なコバルトブルーの面影は全くありません。10年前の大騒動を思い出しながら、今回の静かな2日目のスタートに感謝すら思えました。

特殊コーティング作業

本日も居住者誘導のため、朝から理事長が立ち会ってくれました。理事長に感謝しつつ特殊コーティング作業の準備に入ります。出入り口2か所の一部を通行出来るようにし、2か所は閉鎖して居住者の立ち入りを禁止としました。

作業開始。タイルの1枚1枚に塗り込んでいきます。常にパブリックドメインを公表している弊社ですから、簡単にメカニズムを説明しましょうか。

タイルや石材等は、表面が擦り減って色あせても濡れ色を施せば本来の色を醸し出すのです。今回のテーマは濡れ色を施しコバルトブルー色を復活させ、そのままコバルトブルー色を維持させたまま乾燥させることです。

コーティング作業後1時間程度で、歩行可能な状態にすべし

今回のテーマでもう1つ重要なことは、コーティング作業後1時間程度で、歩行可能な状態に仕上げることにあります。

10年前には問題なく完工したのですが・・・今回は施工中に柵の隙間をかいくぐり、又は柵のポールを押し上げて、施工に無関心な一部の居住者の侵入が相次ぎ、コーティングをやり直したり(重ね塗り)散々な現場となってしまいました。

事前に居住者には協力要請をお願いし、理事長にもお手伝いいただき、我々も気を配って作業していたのですが、出入り口が3か所もあり、其々が目隠し状態となる事もあってやむを得ない部分もあるんですがねえ。中には理事長の前のポールを押し除けて現場に入ったりした人もいたなあ。

コーティング乾燥後、足跡といくつもの筋交が・・・

四苦八苦しながら全床面のコーティングを終え30分乾燥させ、表面状態を確認することにしました。30分後処理後の確認。乾燥後の床面の数ケ所に薄い足跡が浮かび上がっています。何度も塗り重ねた床面にはいくつもの筋交が発生しています。

・・・こりゃアカンは~。残念ながらこれでは引き渡し出来ません。・・予算の問題や居住者の協力が得られなかったこととか、施工前より随分綺麗になり元の状態に近くなったとかはもうどうでもいいのです。誰もが納得する状態に仕上げることが弊社の義務なのです。

2日もの間、理事長も手伝ってくれました。弊社を推薦してくれたT氏も心配して立ち寄ってくれました。

もう1回やり直しましょう。
日を改め居住者対策も十分検討したうえで、
次回、コーティングの剥離を含め1日で誰もが納得できる施工をやって見せましょう。

3回目の施工へ

5月に入り好天気の日、長年私の元で従事してきた連中3名と共に3回目の施工に入りました。前回施工は一部の居住者の無関心が施工を台無しにしてくれました。5月、施工実施を決定した時に、私が私自身に約束した事が本来なら必要のない3回目の施工に繋がったのです。

  • 私自身が10年前に四苦八苦し、試行錯誤しながら仕上げたPマンションのコバルトブルーのタイルが好きなこと。
  • その時の仕事を評価し弊社を推してくれたT氏や居住者の方々の期待を裏切れないこと。
  • 何があろうとウンチクを言わないと決めていたこと

3つがそうです。

今回は1日で全てを完工させる為に色々と準備しました。エポキシの剥離がいかに困難か前回の記事で記しましたが、今回はありません。シリカ系のコーティングがタイルに塗り込んであるだけですから、何等問題はありません。類似業者においては大変な事でしょうが・・・。

タイルを痛めないように剥離、滑り止め施工を実施。前回、何度も侵入され分厚く塗り込まれた部分は全員で削り取り、コーティングするための下地を作り上げ午前中の作業は終了。

全員で昼飯を食べに行こうかと思っていた矢先、な・な・なんとT氏の奥様が、全員と立ち会ってくれていた理事長の分も含めた数の弁当とお茶を届けてくれたのです。

20数年の間、こんなの記憶にありません。驚いたのはもちろんですが、嬉しかったですね。そして大変美味しくいただきました。3回目の施工料金はT氏の奥様から十分にいただきました。有難う御座いました。

前回の失敗を繰り返さないために

さて今回は、前回の件を繰り返さないようコーティング作業を6つに小分けにし、1つ塗り終えたら10分休憩(乾燥させ)し、表面が乾いたのを確認できたら養生シートを被せていきました。

10分間は全員で管理しているので誰も踏み入る事は出来ません。同じ事を6回繰り返し全面にコーティング処理を施す事が出来ました。

コーティングは速乾性としているので養生シートを取り除く事もできたのですが、当日の夜あたりから雨の可能性があったので翌日回収する事にして作業終了としました。

ほぼ均一にコバルトブルーが復活

翌日、養生シートの回収とコーティングの仕上がり状況、そして滑り止めのチェックを兼ねて訪問しました。前回目立った薄い足跡も筋交も見当たらず、ほぼ均一にコバルトブルーが出来上がっていました。

水を蒔いて滑りの確認。安全レベルで仕上がっています。理事長にも確認していただき、ようやく施工完了となりました。

弊社は一昨年、関西国際空港の第3ターミナルの床面4,000平米の滑り止めを依頼され、総勢延18名2晩で施工完了した実績があります。敷設されたタイルはシリコーン系コーティングされたセラミックタイルでした。類似業者には全く手の出せないタイルなのですが、弊社には世間にまだ公開していない施工溶剤技術が多々あります。

シリコーン系コーティングを残留させたまま、光沢も99%維持し、滑りもしっかり安全レベルに仕上げました。・・・種明かしをします。・・・事前にメンテナンス業者さんに床面の洗浄をしてもらうようゼネコンに依頼していたのです。そして弊社はただ新技術の溶剤を塗布していっただけなのです。

塗布していった溶剤が乾いてしまうと全て蒸散し、何も残留しないので殆んど水で洗い流す作業がないのです。ゼネコンと関空関係者に確認してもらいましたが、しっかり滑り止め効果ありって事で好評でした。他の滑り止め業者には信じられない世界かもしれませんね。

話がちょっとそれてしまいましたが、弊社には4,000平米の広い現場も2晩で仕上げる能力があります。今回のPマンションは80平米しかありません。たかだか80平米であっても床面に何が塗布されているかで、その仕事の内容はコストも含め大きく変化します。

実はPマンションに訪問したのは最終日をいれると10回にもなります。エポキシの剥離が主な要因となりますが、限られた予算のなかで事を実施しようとすれば高価な消耗品を使い切る訳にもいかず、自らが身体を張ってやるしかないのです。・・・

今回は私の思い入れのある現場でもあったので仕方ありません。損得抜きの仕事もたまにはいいんでないですか?

この記事を書いた人

内藤 憲道

内藤 憲道

多種多様の床材や状態に合わせて滑り止め溶剤を調剤し、美観をまったく損なわずに滑り止め効果をつくる防滑のエキスパート。溶剤系滑り止めでは、業界の第一人者。全国で活躍する防滑業者の多くは、内藤の理論がベースになっているとかいないとか。メンテナンス業界では防滑に限らず床材のドクター(研究者)として知られ、大手ゼネコン、タイルメーカーはもちろん、同業者から現場相談を受けるなど、(一部では)圧倒的な信頼を得ている。

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