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焼付けタイルの滑り止め施工・・・久しぶりに困った困った!!

焼付けタイプのタイル???

つい先日の話です。大手管理会社H社からの依頼をうけ、大阪府枚方市のマンションの滑り止めに出向きました。一階内部に敷設されているタイルを見て愕然としました。

こりゃぁ、間違いなく焼付けタイルだワ

事前の現地調査の写真を見て、まさか・・・という思いがあったもので、現場には万が一のためと数種類の溶剤を手配し、心の準備はしていましたけど・・・。「こりゃぁ困ったぞ。どうしようか」

焼付けタイプは、防滑溶剤の反応が予測しにくい

弊社においても、焼付けタイプのタイルについて詳しいのは私以外いません。通常、壁材として使用されるもので、原色に近い鮮やかな色が特徴のタイルです。

高温で焼く下地と、焼付けとは言え表面はかなりの温度差がありますし、焼付けする材料によっては、溶剤が全く反応しない場合もあります。逆に突然過剰反応したり・・・・いわゆる表面の膜がしっかり残っている間は反応しにくく、膜が薄くなったり無くなると突然一気に反応する訳です。

昔、事務所で何度もテストした後、タイルを拭いて驚きました。タオルにタイルの色が付いたのです。もう笑うしかなかったですよ。スペインあたりから輸入されていますが、我々にとっては、最もやっかいなタイルです。

さてどうするか。・・・現場に来た以上やるしかありません。

やるしかない!!

このマンションは築後20年で、内壁の立ち上がりと床に同じ真っ青な焼付けタイルが貼られていて、見た目が鮮やかで落ち着きのある美しい入り口となっています。

H社の情報によると、実は数年前に滑り止め工事を施した経緯があるらしい。壁際から隅々までチェックしましたが、滑りが抑制されている箇所は見当たりません。

ただ、内壁と床の青色を比較すると、床の色は少し薄くなっている様に見えます。・・「確かに施工してるな」・・そう感じながら、ますます憂鬱な気分になってしまいました。

恐る恐る、防滑テスト施工

滑りを止めるための適正な溶剤を準備してはいますが、おそらくある時点で一気に反応してしまうでしょう。確認のためとりあえず隅っこの方でテストしてみることにしました。

1回目のテスト

類似業者が磁器タイル用として一般的に使用するレベルを塗布。・・・全く滑りは止まらないが、床は白っぽく変化した。

2回目のテスト

この手の床の滑りを止めるため、経験に基づき製造した溶剤を塗布。・・・滑りは止まったが、床は更に白く変化した。

憂鬱な気分はどんどん深まるばかり。・・・やるしかない。覚悟を決めました。
施工後、間違いなく真っ白けになるでしょうが・・・・。ただし、後で記しますが策あってのことです。

憂鬱なのは、

  1. これから施す弊社の手法を事前に説明していないこと
  2. コストの問題

コストの問題は本来やるべき、事前のデモ施工をやれなかった事も関係してくるので弊社負担は当然としても、問題は1つ目です。

施工の手法を現場施工当日に止むなく変更する訳ですから、・・・・・しかも、1日の工程が2日になってしまいます。1日目の施工後の床は全体が真っ白けになってしまう。

それを見た居住者はビックリし物議になり、何を言っても言い訳にしか聞いてくれないでしょう。・・・あぁ憂鬱・・・ウチは滑り止め屋です。とりあえず滑り止めやりますか・・・。

覚悟を決めて、防滑施工

エーイ、しゃぁない。やったるぜ!!覚悟を決め施工を敢行しました。

施工に選択した溶剤は、万が一にと準備し持参した中で最も比重の重い溶剤です。しかも当日は夏場の晴天です。溶剤の塗布量も通常の1.5倍は必要でしょう。色んな思いが交差する中、溶剤を塗布していきました。

約1時間を経てすべての床に塗布完了。塗布している途上、所々で突然床からの大きな摩擦抵抗を感じたり、そうでなかったり、仕上がった後の真っ青な床が、どの程度変化してしまうのか・・・これほど憂鬱な思いで塗布したことは過去ありません。

中和洗浄後、乾いてきた床は、想像通り真っ白けに変化していきます。さらに、溶剤の塗布量を調整する際に、不用意に落としてしまった液だれまでが・・・覚悟の上とは言え、見事に予測した通りになってしまいました。

コバルトブルーが真っ白けに。この意図をどう説明していくか?

さて問題はこれからです。当然このまま引き渡しはできません。焼付けタイルのシリカ成分の一部(通常の3倍以上かも?)を溶かした訳ですから、後でシリカ成分を補填しなければなりません。

いわゆるガラスコーティングを施すことになりますが、この手法が、滑り止めとこの特殊な床のロケーションをキープするために最善であるし、又これしか方法がないことを、真っ白けになった床を前にしてどう説明すれば良いのか・・・・(ガラスコーティングを施すと青色は復活します。ただ、滑り止めを維持するためには、特定の材料と技術が必要です。)

とりあえずマンションのライフマネージャーに説明をし、後日、もう一度施工に伺うことにして当日は終了としました。

帰路途上の車中でのひとり言

ライフマネージャーに説明したと言ってもこの件に関しては素人やし、さてさてどこまで理解してくれたものか、理事長にうまく伝わればいいが・・・施工途上(未完成)とは言え、今の床を見て、あぁこんなものかと言う人は、まずおらんやろからな。

痛い頭がさらに痛く

複雑な思いの中、事務所へ向かう途上、事務所から電話が入ってきました。発注者であるH社の担当者から「らしからぬ仕事をした?こと」に対し説明を求めるものでした。

H社の担当者は、H社において数少ない技術者の1人で、弊社の説明を十分に理解してくれました。

問題は、マンションの理事長をはじめ居住者です。他社が以前施工した際も、滑りは止まらないは床の色は白く変化するはで、トラブルとなった話を聞かされ、ガッカリ・・・事前に情報が入っていたら、理事会において床の特性、技術的な施工の説明等ができたんでしょうが。

今回のテーマは初歩的な部分でのミスが原因であると私自身は思っていますので、〇〇〇的評論家の皆さんをどう納得させるかが頭を悩ますところです。しかも、ガラスコーティング後も滑りが抑制されたレベルを提供しないと、話は振り出しに戻ってしまいます。痛い頭が更に痛くなりました。

何はさて置き、こういった場合の行動は早いに越したことはありません。ライフマネージャーに連絡を入れ、翌日継続作業に入ることにしました。

残念に思ったのは、パイプ役であり、今回の仕事の流れを説明したライフマネージャーが、殆ど理解をしていなかったことです。・・・・次の作業の説明をしたにも関わらず、施工途上の床の写真を撮り、平然とH社にプロの仕事とは思えない等の報告をしている訳ですから・・・。

ガラスコーティングで、美しいブルーが防滑効果のまま復活

翌日、ガラスコーティングの作業に取り掛かりました。今回材料として選択したのは、速乾性のコーティング材です。

滑りとの兼ね合いもあり、濃度と塗布量を慎重に調整決定します。色合いの調整を確認しながらコーティング作業を進めていきました。滑り止め作業前に近い真っ青な床が徐々に蘇ってきました。

本来、塗布後24時間は放置すべきものではありますが、いきなり床の色合いが変化し、驚いたであろう居住者の皆さんを直に安心させることと、夏休み期間中で常に子供さんがロビーで遊んでいる環境を考えると、20〜30分程度で、取りあえず歩行可能になるものを選択するしかありませんでした。

床全面にガラスコーティングを施し、床の色と滑りのチェックを終え、本日の作業を終了としましたが、まだこの状態で現場引渡しと言う訳にはいきません。

コーティング後、24時間放置すべきところを20〜30分で開放しているんですから・・・日を空けて、完全に定着したかどうかの確認をする必要があります。恐らく何処かが削れて色のバラツキが発生すると考えたからです。

私の中で、3回目の作業をこの日に決めました。・・・如何なる現場であろうとも最善を尽くし、お客様に喜んでいただく・・・改めて初心の気持ちに立ち返る、ある意味いい機会を頂戴したんですから。

この記事を書いた人

内藤 憲道

内藤 憲道

多種多様の床材や状態に合わせて滑り止め溶剤を調剤し、美観をまったく損なわずに滑り止め効果をつくる防滑のエキスパート。溶剤系滑り止めでは、業界の第一人者。全国で活躍する防滑業者の多くは、内藤の理論がベースになっているとかいないとか。メンテナンス業界では防滑に限らず床材のドクター(研究者)として知られ、大手ゼネコン、タイルメーカーはもちろん、同業者から現場相談を受けるなど、(一部では)圧倒的な信頼を得ている。

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